半導体メモリ不足はなぜ起こるのか
掲載日 2026/02/20
度々ニュースなどで目にする「半導体不足」。コロナ禍における半導体不足による家電の在庫不足や自動車の納期遅れ、さらにはロシア・ウクライナ戦争の影響による供給混乱は記憶に新しい。2025年末には、ネクスペリアの出荷停止をきっかけに、ホンダや日産、マツダなど日本の自動車メーカが影響を受けたと報じられた。
そして最近では、AI対応PCやスマートフォン、さらにはAIデータセンタ向けに大量のメモリが必要となり、「メモリ半導体の供給不足」が新たな課題として浮上している。
このように、半導体不足は産業界だけにとどまらず、一般消費者の生活にも直接的な影響を及ぼしている。しかし直近で注目されている不足は、従来語られてきた半導体不足とは性質を異にする。ここでいう「半導体不足」とは、最終需要に対して供給が数量・時期・価格のいずれかの面で追いつかない状態を指すが、特にメモリ半導体では、その背景に構造的な制約が存在する。
本特集では、数ある半導体の中でも「メモリ」に焦点を当て、なぜ今これほどまでに不足が問題視されているのか、その構造的背景と今後の展望を整理する。
1. シリコンサイクルと「メモリ不足」[2]
半導体業界には「シリコンサイクル」と呼ばれる景気循環が存在する。これは需要と供給のミスマッチによって生じる周期的な変動であり、半導体産業の構造的特徴の一つとされている。
一般に、需要拡大を受けて需給が逼迫すると、半導体メーカ各社が設備投資を実施し、新たな生産ラインを構築するが、実際に新たな生産ラインが稼働するまでには1年半から2年程度の時間を要する。その間に需要の伸びが鈍化し、供給が需要を上回ることで、在庫の増加やメモリの価格下落を招く。その結果、半導体業界全体の収益性は急速に悪化する。
一方で、新たなソフトウェア技術やアプリケーションの登場により、それに対応するハードウェアとしての半導体需要が再び急増すると、需給は一転して逼迫し、価格上昇とともに業界全体の業績が回復する。このような好不況の循環が、おおよそ4年周期で繰り返されてきた。
特にメモリ半導体は製品の差別化が難しく、市況変動の影響を受けやすいことから、シリコンサイクルの振れ幅が大きい分野として知られている。そのため、短期間で巨額の利益を上げる局面と、大幅な赤字に陥る局面を繰り返す傾向が顕著である。
続きをご覧いただくにはログインしていただく必要があります。
関連特集
関連カテゴリー
「半導体メモリ不足はなぜ起こるのか」に関連する特集が存在しません。
「半導体メモリ不足はなぜ起こるのか」に関連するカテゴリーが存在しません。




