半導体時事特集 〜ローム再編の行方 デンソー vs 三菱電機・東芝〜

掲載日 2026/04/24

 現在、パワー半導体業界の構造を揺るがす、ロームを巡る再編が注目を集めている。デンソーによる買収に応じるのか、それとも三菱電機・東芝との統合により国内連合として再編されるのか。本特集では、本件の経緯と背景、そして今後のシナリオを予想する。


1. パワー半導体が重要視されているわけ

 パワー半導体は電力の変換・制御を担うデバイスであり、近年はEV、再生可能エネルギー、AIデータセンタの拡大を背景に需要が急増している。

 例えばEVにおいては、バッテリーの直流電力をモータ駆動用の交流電力に変換するインバータが不可欠であり、この電力変換にはパワー半導体が用いられる。インバーターではスイッチング損失や導通損失が発生するため、変換効率の向上は車両全体のエネルギー効率の改善に直結する。実際に、SiCパワー半導体の採用によりインバータ損失の低減や電費改善が報告されており、結果として航続距離の向上に寄与することが、シミュレーション研究等で示されている。[1]

 再生可能エネルギー分野においても、発電された電力を送電網に適合させるための電力変換にパワー半導体が用いられており、損失低減はそのまま発電効率の向上につながる。またAIデータセンターでは、サーバの消費電力増大に伴い電源ユニットの高効率化が求められており、電力変換の最適化を担うパワー半導体の重要性が増している。ロームのGaNパワー半導体がAIサーバ向け電源に採用された事例は、この流れを象徴するものである。[2]

 こうした需要拡大の中で、従来主流であったSiに加え、より高効率・高耐圧を実現するSiCやGaNといった次世代材料へのシフトが進んでいる。これらは電力損失の低減や小型化を可能にする一方で、製造難易度が高く、大規模投資と高度な量産技術が求められる。

 その結果、パワー半導体は単なる部品ではなく、エネルギー効率や産業競争力を左右する戦略的に重要な基盤技術として位置付けられている。

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