世界半導体試験/検査装置市場、2021年には30%増へ
掲載日 2021/10/13
OSAT企業も積極投資、2022年度まで拡大ペースを維持
2020年以降、半導体需要の好調が続いている。世界半導体出荷統計(WSTS)では、世界半導体市場は2021年に前年比19.1%増となり、2022年も同8.8%増となると予想している(2021年春季予測)。
半導体需要が急速に拡大したことにより、世界的に半導体が不足する事態が発生、自動車をはじめとする多くの産業に影響を与えている。この状況を緩和するため、米Intel社、台Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)社、韓Samsung Electronics社といった大手半導体メーカーを中心に設備増強のため、大規模な設備投資計画が進められている。その他の企業でも、アナログ、パワーデバイス向けも含めて積極的に設備投資を行っている。
組立/テストなどの後工程製造を行うOSAT企業でも設備投資の拡大を進めている。最大のOSAT企業である台湾ASE Technology Holdings社は、設備投資額を、2018年に前年比68%増、2019年に同37%増と拡大を続けた後、2020年には同9.2%増に拡大ペースを抑えていた。しかし、2021年に入ると拡大ペースを加速、同年上半期では前年同期比78%増としている。通期でも前年度比50%以上の成長が予想されている。ASEを追う大手OSAT企業である米Amkor Technology社は、2020年には前年比17%増、2021年には期初時点で前年比27%増の7億米ドルという高成長を計画していたが、上期中には同41%増の7億7,500万米ドルに増額している。
2021年の世界半導体試験/ 検査装置市場は30%成長
設備投資拡大により半導体製造装置市場も拡大している。前工程装置、組立装置という半導体製造に直接関わる装置だけでなく、半導体のテスト装置、製造プロセスの品質や精度を維持するための各種の検査装置の市場も成長している。
これら世界の半導体試験/検査装置市場は、2020年には前年比13.1%増の1兆5,882億6,200万円となった。
2019年のメモリバブル崩壊が一段落し、5G向けに半導体市場が活性化しようとする中、新型コロナウイルス発生に起因した半導体不足が試験/ 検査装置市場も活性化させ、2020年には前年比二桁増を回復した。なお、本稿で使用している市場データは当社発行「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑2021」から引用している。
2020年の半導体試験/検査装置別市場シェアは以下の図にようになる。最も構成比の高い半導体テスタが39%。市場規模は6,210億2,200万円となった。 テスタに次いで構成比の高いウェーハ表面検査装置の市場シェアは22%、売上規模は3,545億2,000万円。第3位はシェア19%のマスク/ レチクル検査装置で、売上規模は2,985億3,800万円となっている。
4位以下の市場シェアはいずれも10%以下。微小寸法測定装置が9%(市場規模1,352億1,500万円)、膜厚計が4%(同671億1,000万円)、ウェーハ外観検査装置が3%(同440億9,500万円)、信頼性試験装置が3%(同416億5,000万円)、パーティクルカウンタが2%(同262億200万円)となった。(小数点以下を四捨五入しているためシェア合計は101%)
前述のとおり半導体向け設備投資は2021年も拡大を続けていることから、2021年の世界半導体試験/検査装置市場は、前年比29.7%増の2兆598億8,000万円に拡大すると予想した。2022年も同20.1%増の2兆4,739億200万円と高成長を維持すると予想している。 2023年~2025年の世界半導体試験/検査装置市場は、2023年から成長ペースは鈍化するものの、引き続き右肩上がりで伸長していくと予想している。2021年から2025年までの平均成長率は7.8%としている。
2022年以降も中国市場が牽引
2020年の世界の試験/ 検査装置市場を地域別シェアで見ると、日本市場が前年比0.5%減の1,896億8,100万円(シェア11.9%)、米国市場が同横這い(0.1%増)の1,632億9,300万円(同10.2%)、韓国市場が同53.7%増の3,389億5,700万円(同21.3%)、台湾市場が同1.6%増の3,519億2,200万円(同22.1%)、欧州市場が同28.8%減の574億8,300万円(3.6%)、中国市場が同23.8% 増の3,714億7,300万円(同23.8%)、その他アジア市場が同12.3%増の1,154億5,300万円(同7.3%)となり、試験/検査装置も中国市場がシェアトップとなった。
中国市場は2021年には前年比29.5%増、2022年も同32.6%増と30%前後の成長を続け、2023年、2024年も同14.0%増、16.4%増と二桁成長を持続、2025年には同2.0%増に鈍化するものの8,634億8,200万円にまで拡大すると予想している。2022年~2025年までの中国市場の平均成長率は15.7%増になる。
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