世界の半導体製造装置市場、21年は31%増、22年も二桁成長
掲載日 2021/10/07
世界半導体市場は2022年も成長持続
2020年は、在宅勤務や、巣篭もり需要によるDX(デジタルトランスフォーメーション)が新しいビジネス/生活スタイルを変化させ、テレワーク用ネット機器、PC(パソコン)やクラウド用のコンピュータ需要が拡大し、半導体需要を押し上げた。また、その影響もあり、世界的な半導体不足が発生し、自動車産業を始めとした下流工程に莫大な損失をもたらした。
2021年も半導体需要の好調が続いている。半導体の供給不足の回復については、半導体企業は設備投資を拡大、生産能力の拡大を続けているものの、2021年後半に入っても具体的な時期は見えていない。このような状況から2021年の半導体市場も拡大が予想される。
世界半導体出荷統計(WSTS)の春季予測(2021年5月発表)によると、2021年の世界半導体市場は前年比19.1%増となっている。同予測の発表以降も半導体市況は好調が続いており、米国半導体工業会(SIA)が発表している世界半導体売上高は2021年第2四半期以降も成長を続けており、2021年8月でも前年比30%弱という高成長を維持している。
2022年についても、TSMCのチェアマンであるMark Liu会長が2021年7月のインタビューで「世界的な半導体不足は、2022年も続くだろう」との見方を示すなど、需給バランスがとれるまでには時間が掛かるものと見込まれる。このため、2022年の半導体市場も成長が期待できる。WSTSの予測では、前年比8.8%増となっている。
2021年は投資拡大が加速
半導体企業の設備投資の面をみると、2020年上半期は前年度のメモリバブル崩壊の影響や、新型コロナウイルスの影響による消費の低迷によって、控えられた。しかし、下半期に入ると、前述のように、半導体市況の需要が急速に拡大、世界的に半導体が不足する事態が発生した。半導体設備の稼働率は2020年第2四半期以降90%を上回るフル稼働状態が続いている(図:半導体生産ラインの稼働率推移)。
米Intel社、台Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)社、韓Samsung Electronics社といった主要半導体メーカーは2020年以降、年間数兆円に及ぶ投資を継続、拡大する半導体需要に対応しようとしている。その他の企業でも、アナログ、パワーデバイス向けも含めて積極的に設備投資を行っている。このため、2022年も大型投資が続くものと予想される。
さらに半導体不足による自国産業へのダメージを危惧した主要国の政府は、半導体メーカーへの大規模な支援策を打ち出していることも、投資拡大を後押ししている。
2021年の製造装置市場は前年比32%増
2020年の世界半導体製造装置市場は前年比14.6%増の7兆1,533億2,600万円となった。半導体製造装置市場はウェーハ製造装置、ウェーハプロセス装置、組立装置、関連部品、搬送などの自動化機器、クリーンルーム及び関連設備搬送機器・関連設備を対象とするもので、テスタなどの試験措置、検査装置は含んでいない。
本稿で示している半導体製造装置市場のデータは、当社発行の「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑2021」のものである。
2020年の半導体製造装置市場の地域別構成比率は、日本が13.2%、米国が11.0%、韓国が26.0%、台湾が20.9%、欧州が5.1%、中国が20.3%、その他アジアが3.5%となった。
半導体製造産業が、台湾、韓国、中国を中心とした東アジア地域への移行が進んでいると推測されるが、このことが半導体産業サプライチェーンに不安定をもたらしているとも言える。
工程別では、EUV を含むリソグラフィ工程が売上高1 兆6,617 億円に達し、前年比10.1%増と伸長。2020年も半導体工程の中でトップの売上を計上した。今年は最先端ロジックデバイスと共に市況が回復したメモリ製造向けが売上を牽引した。
2020 年のエッチング工程は前年比19.6% 増の1兆3,973 億円でリソグラフィ工程に次ぐ2位になった。2021年も27.6% 増の1兆7,828億円と大幅な伸長が予測されている。
2021年の半導体製造装置市場は、前年比31.6%増の9兆4,165億円と予想している。世界的に拡大する半導体需要に対応するために、半導体工場が増設され、ウェーハ製造から後工程まで大規模に投資されると見られる。ロジックに関しては、台TSMC 社を中心に韓Samsung Eectronics社、米Intel 社の3 社を中心に、積極的な投資が進んで行くと見られる。中国メーカーも米国からの制裁はあるものの、中Semiconductor Manufacturing International(SMIC)社を筆頭に半導体不足の影響から受注が拡大しており、内製も含めた需要増加に対応するため、引き続き投資が拡大する。更に2025年に向けて中国の半導体メーカーが政府のバックアップを元に投資を拡大しており、中国の製造装置メーカーも巻き込んでシェア争いが激化すると見られる。
このため、地域別構成比率は2020年とほぼ同じだが、中国が前年から1.8ポイント拡大し、22.1%になると予想している。
また、2022~2025 年の半導体製造装置市場の予測では、2021、2022 年内に予定されている大規模投資が終了することから、2023年には成長率は前年比1.1%に低下するものの、、世界的な半導体需要増に対応するため、引き続き右肩上がりで伸長を続けると予測した。
半導体製造装置市場の詳細については、当社の「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑2021」(2021年10月11日発行)をご覧いただきたい。全体状況に加えて、個別装置ごと、地域別ごとの詳細な分析・予測を行っている。
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