ガラス基板の開発と市場の動向

掲載日 2025/05/16

ガラス基板開発の歴史とアプリケーション

現在 半導体パッケージングの新たな材料として注目をあびるガラス基板であるが、その研究開発は2000年代に始まっていた。

2000年代に入ると半導体業界では、従来の有機樹脂基板の限界が指摘され始め、高密度実装や熱管理の課題を解決するために、ガラスの高い剛性、平滑性、低熱膨張率が半導体パッケージングの新材料として期待され、ガラス基板の研究が始まったとされる。

2010年代に入ると、米国ジョージア工科大学の3D Systems Packaging Research Center(GT-PRC)が、ガラスインターポーザの研究を開始し、産業界との連携を強化。30社以上の企業が参加するコンソーシアムが形成され、ガラス基板の開発が加速し、次世代の2.5D実装を支える技術として、ガラスインターポーザの可能性が広く認識されるようになった。

しかし、ガラス基板の研究開発は、2010年代後半から2020年代初めにかけて、一時的に停滞した。この理由に以下の3項目が考えられる。

1)従来の樹脂基板によるFCBGA(Flip Chip Ball Grid Array)基板の技術が急速に進化し、高密度実装が可能になった。

2)ガラス基板は、樹脂基板に比べて加工が難しく、量産技術の確立が課題であった。特に、TGV(Through-Glass-Via)技術の歩留りが低い等、コストと製造技術の課題があった。

3)AIやクラウドコンピューティングの発展に伴い、半導体業界は高性能プロセッサチップの開発に注目が集まり、パッケージング技術の革新よりも、チップの進化が優先される。

しかし、2020年代にガラスコア基板の量産化への動きが、再び動き始める。

そのきっかけの一つは米Intelが2023年9月18日に開催された「Intel Innovation 2023」で、次世代のガラスコア基板の510mm×515mmの試作基板を発表し、2030年までに、1つのパッケージ基板上にトランジスタ数を1兆個形成する計画を掲げ、ムーアの法則の継続が可能としたことである。また、同年にはIEEE Glass Package Workshopが開催され、高密度配線技術やTGV(Through-Glass-Via)技術の進展がクローズアップされている。2024年には、日本電気硝子が、TGVをCO2レーザーで開口することが可能な510mm×515mmの大型ガラスセラミックス・コア基板の開発を発表した。

一方、韓国SKグループ傘下のAbsolicsは、米国CHIPS法の助成を受け、7,500万ドルの資金を獲得し、ガラス基板の量産に向け工場を建設、2024年後半には少量生産を開始、2026年までに量産までスケールアップする計画を進めている。

CES 2025では、米Absolicsがガラス基板の販売を発表し、米NVIDIAやその他のグローバルファブレス企業からの注文が殺到している。特にAIチップの大集積化に向けた対応技術として、米NVIDIAがガラス基板の導入を検討している可能性が高いと報じられ、注目が一気に高まった。

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