半導体製造プロセス特集 第2回 ~シリコンウエーハ製造入門~

掲載日 2025/05/29

1. はじめに

半導体製造プロセス特集の第2回は「シリコンウエーハ製造入門」である。

特集第1回は半導体製造の「設計」について説明した。今回は半導体を構成するため最も基本的かつ不可欠な素材、シリコンウエーハ(silicon wafer)について説明する。

設計が「頭脳」であれば、シリコンウエーハは「身体」といっても過言ではない。

本特集では、シリコンウエーハの概要とその歴史、製造方法の概略について説明していきたい。

2. シリコンウエーハとは

シリコンウエーハとは、半導体デバイスを形成するための基板である。高純度の単結晶(結晶のどの位置であっても結晶方位が変わらないもの[5])シリコンを円盤状にスライスし、鏡面加工を施して製造される。半導体産業で最も一般的に用いられる基板であり、あらゆる分野に不可欠な素材となっている。


図 1 シリコンインゴットとウエーハ(信越化学工業のHPより引用)

現在のシリコンウエーハの主流サイズは、12インチ(300㎜)であり、1960年代0.75インチ(約1.9㎜)から始まり、1965年頃には1.5インチ(約40㎜)、1975年頃には4インチ(約100㎜)と徐々に大型化した。その後、1981年頃に5インチ(約125㎜)、1983年頃に6インチ(約150㎜)、1992年頃に8インチ(約200㎜)を経て、2002年頃に12インチ(約300㎜)となった。[6][7]

また、次世代版ウエーハとして18インチ(約450㎜)への移行も検討されたが、実用化には至っていない。[8]


図 2 シリコンウエーハのサイズの変遷[6][7]

なぜシリコン(Si)がウエーハの材料として最も利用されているのか、その一番の理由に「豊富さ」がある。シリコン、いわゆる「ケイ素」は地殻中で酸素に次いで2番目に多く存在する元素であり、主に二酸化ケイ素(SiO₂)として天然に存在している。様々な機器に半導体が多く使用される状況において、半導体材料として豊富に採取できるというのは大きなメリットである。


図3. 地殻に存在する元素について[9]

また、シリコンは加工や高純度化が容易であり、電気的特性も優れている。また、熱酸化法により優れた絶縁膜である二酸化シリコンを形成できることなども、シリコンが半導体の材料として最も用いられる理由である。[10]


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