半導体材料ガスの企業動向

半導体の製造工程では、様々な種類のガスが使用される。主にガスが使用される工程は前工程で、主な用途はキャリア(他の材料ガスを運ぶ)や酸化防止、冷却、エッチング時の除去、側壁保護、成膜、洗浄と様々である。 今回は主要な半導体材料ガスの種類と用途を解説していく。

バルクガス

バルクガスは、半導体製造のパージガスやキャリヤガス、酸化用ガスとして使用されるガスのことをいう。半導体産業で用いられるガスには、窒素ガス、酸素ガス、水素ガス、アルゴンガスが存在する。主要なバルクガスの供給企業としては、岩谷産業、エアウォーター、大陽日酸、日本酸素ホールディングス、海外企業ではエアリキードが挙げられる。2023年6月29日、国産2nm半導体のガス供給を目指すRapidusは、大陽日酸をパイロットラインで使用するバルクガスの供給者に選定したことを発表した。大陽日酸は、ラピダス構内に「千歳ガスセンター」を設立する予定。 窒素ガス(N2) 窒素は主にパージガスとして使用される。プロセス工程間の移動の際に、ウエハの酸化を防止するために用いられる。

酸素ガス(O2)

酸素ガスは、半導体において表面保護/絶縁膜の役割を持つ、シリコン酸化膜(SiO2)を形成するための酸化物として用いられる。その他にも、エッチング時の添加ガスとしても用いられる。 水素ガス(H2) 水素ガスは、原料となるガスの希釈や雰囲気用として主に用いられる。特にポリッシュドウエハのアニール時に用いられる雰囲気ガスや、エピタキシャル成長用のキャリアガスとして多く利用されている。

アルゴンガス(Ar)

アルゴンガスはエピタキシャル成長、CVD、酸化膜プロセスの雰囲気ガスに用いられる。また、スパッタリング時、ターゲット材に衝突させるイオンを発生させる為に用いられる。そのほかエッチングでも反応性イオンエッチング(RIE)時、エッチング箇所にアルゴンイオンを衝突させ、穴開けを行う役割を持つ。 ヘリウムガス(He) ヘリウムガスは、主にプロセスを終えたウエハに対して、冷却を行う冷却用ガスや、キャリアガスとして用いられている。半導体産業では使用量の多いガスだが、ヘリウムガスは日本では全てを輸入に頼っている。ヘリウムガスの価格は2010年代から今日まで、急激に価格が上昇している。貴重な資源であることから、使用したヘリウムガスを効率的に回収し、濃縮して再利用する回収・精製ユニットが開発され、エア・ウォーター・プラントエンジニアリング株式会社や小池酸素工業が半導体産業向けに積極的に販路を広げている。

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