半導体製造装置ガス配管

掲載日 2021/08/20

搭載チャンバ数、ガス系統の増加により需要が拡大

 半導体製造装置のガス配管系は、配管(パイプ)と継手、およびガス流を制御するバルブ、マスフローコントローラなどで構成されている。
 配管は主にステンレス(SUS)が使用されている。配管の形状としては、堅牢なパイプタイプと設置スペースに合わせて組み込むことの可能なフレキシブルホース、大きな口径ながら屈曲の可能なベローズパイプなどが使用されている。
 日本製鉄/日鉄ステンレス鋼管、NKKなどのスチールメーカ、またはそれらの材料を加工するパイプメーカ、ホースメーカから供給される。そのパイプ、ホースと継手、バルブなどを組み合わせ、製造装置メーカやその協力企業で製作する場合と、配管業者が提供する場合がある。
 パイプの内部は発塵がなく、ガス流を乱すことのない精密な表面が要求されることから高精度の研磨加工が施されている。さらに半導体製造用部材として溶解された高清浄度鋼を素材として利用、加工もクリーン環境で行うスーパークリーンパイプが日鉄ステンレス鋼管から提供されている(開発は旧住友金属工業)。
 半導体製造装置に特化したハイエンドの材料だけでなく、一般的なステンレス材料を精密に加工したパイプも多くの企業から提供されている。継手についても高いクリーン度に対応した製品が販売されている。
 配管システムの装置価格に占める比率は1%以下とみられるが、装置当たりのチャンバ数の増加、プロセスの複雑化により供給プロセスガスの系統の増加、などにより1台あたりの金額は拡大している。また、より精密なガス制御が要求されるため、バルブ、マスフローコントローラも高性能化が進み、価格も上昇している。このため、半導体製造装置市場の回復した2020年以降はエッチング装置、CVD装置など搭載される製造装置市場以上の成長を遂げているものと見込まれる。
 このため、2020年には前年比39%増の159億600万円、2021年は前年比43.8%増の228億6,700万円と加速しているものと推定される。

配管加工企業の動向

 配管パイプ、継手、バルブなどによる配管加工事業を行っている企業の同動向をまとめていく。
 配管加工事業は、製造装置メーカーやその協力企業が中心で行っているが、独自で展開している企業も多い。国内外の数多くの企業が参入しているが、継手・バルブといったパーツの企業がユーザの要求に合わせて、自社部品を組み込んだ配管システム全体の設計、製造を行っているケースも多い。
 今回は国内で活動する代表的な企業として、アドバンテックイハラサイエンス、米Swagelock(日本法人スウェージロックジャパン)、テクノウェル戸倉工業ワッティーを取り上げる。
 アドバンテックは、専用クリーンルームでパイプからシステムまで一貫製作することで、パーティクル・金属・イオンを管理された高精度製品の短納期供給を実現している。
 イハラサイエンスは継手、バルブを主力製品としている。それを利用し、パイプなどを加えた配管システムをトータルで考え、対象装置全体の配管設計から組立までに対応している。製造拠点として、2019年に静岡県伊豆長岡に最新鋭の生産設備を導入した新工場を建設した。同工場は同社の製品とサービス、生産技術、加工技術などの研究開発部門を集結させた開発・生産拠点となっている。
 Swagelockは高精度バルブ、継手の世界的なサプライヤ。自社製品を利用して、カスタマの要求にあった製品配管ユニットを製作するサービスの提供も行っている。配管の曲げ加工や溶接から、必要に応じて他社製品の調達・組み込みにも対応している。
 テクノウェルは多様な事業分野に向けて高精度なパイプ加工、配管システムの開発、提供を行っている。半導体製造装置についても、設計から組立(クリーンルーム内組立も可)まで、ワンストップで対応できる。
 戸倉工業は配管系の設計製造にカスタム対応している。製造施設(本社クリーンルームは面積150平方メートル、クリーン度10,000)でパーティクルフリーの加工を実現している。また、ステンレス配管自動溶接技術、高精度の自動折り曲げ装置(オートベンダ)を利用することで、高精度の配管系を短納期で提供することが可能である。
 ワッティーは熱システム事業部の仙台事業所のクリーンルーム(クラス100/1000)でクリーンSUS配管の切断・溶接加工からガス供給システム(配管システム)までの一貫生産を行っている。主に東京エレクトロンのエッチング装置、CVD装置などに向けて提供している。

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