半導体プロセスでの応用分野が広がるめっきプロセスの動向

掲載日 2024/07/30

半導体産業にとってめっきプロセスは極めて重要なプロセスである。当初めっきプロセスは半導体プロセスにおいて重汚染プロセスとして、クリーンルーム外で処理されていたが、その後クリーンルーム内で処理可能なめっき装置が開発され、Cu配線の普及により、めっきプロセスは配線工程において欠かせないものとなり、現在に至っている。 

 

電解めっきと無電解めっき 

めっきプロセスには電解めっきと無電解めっきという2種類のめっき方法が存在している。電解めっきは外部電源によって駆動させる。数十μmもの厚膜めっきを形成する必要がある半田バンプめっきにおいては主に電解めっきが用いられる。しかし、専用治具によるウエーハへの外部電源取り付けが必要な上、めっき槽に投入するウエーハ枚数が限られてしまうなど、課題も存在する。 

 

無電解めっきは金属のイオン化エネルギー差で駆動する。外部電源が不要で下地の金属膜が無くてもUBM層を形成可能である。金属露出部へ選択的な層形成が可能なため、レジストパターンが不要で、処理工数を削減できる。電解めっきよりも一度に多くのウエーハをめっき槽に投入することが可能である。Al電極上にNi(ニッケル)UBM形成を行うのが一般的である。 

 

 

半導体における3種類のめっきプロセス 

半導体製造に用いられるめっきプロセスは大分すると3通り存在する。 

11980年代より採用された後工程向けUBM形成プロセスである。UBMとはUnder Barrier Metal、またはUnder Bump Metalの略で、はんだボール、またはワイヤボンディングの接合性を強化させる役割を持つ。 

2つ目はパッケージ基板と電極を接続されるためのバンプ形成プロセスである。バンプ形成プロセスはウエーハに対してシード層とフォトレジストを成膜後、電解めっき→レジスト剥離→シード層エッチング→リフローと工程が進んでいく。現在、先端半導体においてはバンプピッチの微細化が要求されており、バンプ形成プロセスの重要性も高まっている。 

3つ目が配線層のめっきである。これは配線材料がAl(アルミニウム)からCu(銅)に変更されたことによりめっきプロセスが採用された。Al配線で用いられていたサブトラクティブ法と呼ばれる従来の配線層形成においてCu配線が使えなかったためである。Cu配線ではデュアルダマシン法と呼ばれる(図)プロセスが採用されるが、ここで電解めっきプロセスが用いられる 

 

グラフ, 棒グラフ

自動的に生成された説明

 

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デュアルダマシンプロセスにおけるめっきプロセス 

デュアルダマシンプロセス向けめっき装置はアノードヘッド、ステージ及びアノード待機部で構成されている。 

 

Cu配線におけるめっきプロセス】 

  1. 下部位置でウエーハをロードする。 

  1. 上部位置に移動して前処理と成膜(めっき)を実施 

  1. 中間位置で洗浄と乾燥を実施 

  1. 初期位置でウエーハをアンロード 

使用されるめっき液は硫酸銅が用いられるが、成膜速度、均一性、埋込性、密着性、抵抗値、不純物の量の制御のために添加剤が用いられる。添加剤は基本的に抑制剤、促進剤、平滑剤 が用いられ、めっきのパラメータを決定する。 

めっき装置には、ウエーハを横向きに配置し、めっきを行う装置が用いられる。 

 

先端パッケージにおけるチップ接続配線にもCu配線が適用期待 
 現在、チップレットによるインターポーザ部のCu微細配線化が進んでおり、その配線層形成にはめっきプロセスが用いられている。プロセスが緩い頃にはバンプ形成用レジストが共用されていたが、微細化が進展したことによって、奥野製薬工業やJCU,上村工業といった各社が再配線層用のめっき液を開発している。また、信越化学工業は20246月にインターポーザを用いず、その下のパッケージ基板を微細化してチップ同士の接続を行うため、デュアルダマシン法をパッケージ基板に用いて製造するための製造装置とプロセス開発したことを発表した。これが実現すればコスト面、工程、そして信頼性の面でプラスに作用するだろう 

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