世界各国の半導体支援政策(2022年3月11日)

1.世界で活発化する半導体工場誘致

 半導体は5G、ビッグデータ、AI、自動運転、IoT、DX、ロボティクスなどでデジタル社会を支える重要基盤となっており、産業のサプライチェーンからもみても最も重要な要素の一つである。
 2020年以降、地震、噴火といった災害や洪水、大寒波といった異常気象、火災、停電といった事故、さらには新型コロナウィルスによる感染症の広がりなどにより、稼働停止を余儀なくされる半導体生産ラインが増えてきた。このため、半導体や意外さ半導体供給の遅れが、他産業に影響を及ぼし、さらには経済全体の停滞につながっている。世界の多くの国々で、半導体が自国の基幹産業の動向を左右することから、その安定供給のために国内、域内での半導体製造能力を確立、強化が望まれるようなってきた。
 米中間の技術覇権対立の象徴となるなど、経済安全保障の点からも半導体の確保が重要になっている。
 このような、状況から世界の多くの国、地域で、半導体の製造、開発を支援するための様々な政策が立案され、多額の補助金・助成金が準備されている。世界中で半導体工場の誘致競争が展開されている。
 なかでも世界の半導体メーカのトップ3である台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)社、韓国Samsung Electronics社、米Intel社が、誘致対象として世界各地からアプローチを受けている。Samsungはメモリ、IntelはMPUのトップメーカだが、誘致に対応する新規工場としては、ファンドリ事業の拠点とすることも含めて交渉を進めている。
 米国ではTSMC、Samsung、Intelが新工場建設を発表、日本でもTSMCがソニー、デンソーと共同出資で新工場建設を進めている。欧州ではIntelがアイルランド工場の増強を進めているほか、ドイツとも交渉を行っている。中国では米中間の問題もあり最先端工場の建設は難しくなっているが、22~28nmよりも緩やかプロセスに対応した製造ラインの整備がTSMCによって進められている。Samsungも西安でNAND型フラッシュメモリの製造を行っている。
 Samsung、TSMCの地元である韓国、台湾では、半導体製造だけでなく、安定製造に欠かせない、装置、材料、インフラといってエコシステムの強化を重要な政策テーマとしている。重要な製造装置、材料について、自国での開発を進めるほか、有力装置・材料メーカを誘致、自国内での製造強化を進めている。
 今回の特集では、主要な国、地域での半導体産業の支援政策の状況、実際の工場計画などをまとめていく。

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