OSATの2021年7月~9月期売上高/各企業の売上高が大幅成長、設備投資も急拡大

掲載日 2021/11/18

主要10社中8社が売上高20%以上の大幅成長

 半導体組立・テスト事業を行うOSAT企業の拡大が進んでいる。表に台湾、中国、米国、日本の主要OSAT企業10社の2021年第3四半期(2021年7月~9月、以下、当該期間)の売上高、2021年1月~9月までの累積設備投資額をまとめた。(ただし、投資額のうちAmkor Technologyは2021年通期予想、新光電気工業は2021年度上期実績)
 台湾Powertec Technology(PTI)社を除く9社が前年度比10%以上の成長を記録している。さらに9社のうち、中国JCET Groupを除く8社が20%を超える急成長となっている。メモリ組立を事業の中心とするPTIは前年後半からのメモリの在庫調整の影響から、当該期間売上高は前年比8.2%増に止まったが、21年四半期以降、DRAMを中心にメモリ需要が回復しており、前四半期からは21.1%増と急成長を遂げている。
 台湾ASEとAmkor Technorogyは通信、自動車、サーバ用などのハイエンド分野を中心に順調に売上を伸ばした。
 また、中国のJCETTSHT(Tianshui Huatin Technology)社も自動車、携帯電話、5Gインフラなど中国政府が国産化に力をいれている分野を中心に高成長を続けている。
 台湾企業は前述のPTIのほか、メモリ、ディスプレイドライバ、通信、コンシューマなどが売上の中心となっている。
 このような売上増に対応するため、生産能力増強に向けて積極投資が続けられている。売上伸び悩みによる投資を控えたPTIを除き前年度同期間比10%以上の拡大している。

主要企業の動向

Amkor Technology
 当該期間の売上高は16億8,100万米ドルで、前年度同期比24.2%増、前期比19.5%増となった。売上高の構成比率はパッケージ・サービス部門が87%、テスト・サービスが13%。
 アプリケーション別構成比率は通信43%、コンシューマ22%、自動車/産業/その他が20%、コンピューティングが15%となった。通信分野が携帯電話向けを中心に前期比28%増と大きな成長を遂げた。
 営業利益は2億1,100万米ドルで、前年度同期比66.1%増、前期比36.1%増。純利益は1億8,100万米ドルで、前年度同期比約2倍、前期比43.7%増となった。
 2021年第4四半期売上高は15億9,000万~16億9,000万米ドルと計画している。
 2021年の設備投資は第3四半期までの累積が5億5,300万米ドルで、前年度同期比12.5%増となった。通期では前年度比62%増の7億7,500万米ドルを計画しおり、2021年度第4四半期に韓国K5、中国工場の強化に大型投資を行っていく。
2021年10月にはベトナムにSiPのための新工場建設の計画を発表した。2022年に着工、投資額としては2億5,000万~3億米ドルを計画している。

ASE Technology Holdings
 当該期間の組立・テスト事業(ATM)の売上高は900億9,200万NTドル、前年度同期比25.4%増、前期比14.1%増となった。営業利益は156億3,100万NTドル、前年度同期比129.6%増、前期比32.3%増となった。
 売上高のアプリケーション別比率は、自動車/コンシューマ/その他が51%、コンピューティングが15%、通信が34%。サービス分野別の売上高構成比率は、バンプ/フリップチップ(FC)/WLP/SiPが36%、ワイヤボンディングが39%、ディスクリート/その他が8%、テストが15%、材料が2%。
 第3四半期までの3四半期累積設備投資額は前年度同期間比23.1%増の527億8,700万NTドルとなった。IC組立向けが約63%、ICテスト向けが22%となった(残りはEMS・その他事業向け)。
 2021年度第4四半期の売上高は第3四半期と同水準となると予想している。
 
Powertech Technology(PTI)
 当該期間の売上高は223億2,000万NTドル。前年度同期比17.9%増、前期比8.2%増となった。前期はメモリの在庫調整の影響から前年度比3.5%増に止まったが、メモリ向けサービスが再び成長を開始したことから、前年度比二桁増となった。
 サービス分野別売上高構成比率は、パッケージングが70%、SiP/モジュールが8%、テストが22%。製品分野別売上高構成比率は、DRAM21%、NAND69%、SiP/モジュール8%、ロジック35%となった。
 営業利益は41億NTドルで前年度同期比56.0%増、前期比11.0%増、純利益は33億2,100万NTドルで前年度同期比62.2%増、前期比13.8%増となった。
 2021年度第4四半期も好調が維持されると見ている。
 設備投資額は63億4,600万NTドルに拡大している。

ChipMOS Technology
 同社の当該期間売上高は前年度同期間比25.9%増の71億6,100万NTドルとなった。前期からは2.6%増に止まっているものの、高水準の売上を維持している。アプリケーション別構成比率はDRAM/SRAMが18.6%、フラッシュメモリが24.8%、ミクスト・シグナルが11.1%。ディスプレイドライバICが29.8%、バンプ形成が15.7%。DRAM/SRAM向け組立事業は2021年第2四半期以降好調が続いており、サービスタイプ別の売上高はテスト21.9%、組立30.3%、LCDドライバ29.6%、バンプ形成/WLCSP8.5%となり、組立サービスでは稼働率が90%を上回る状況が続いている。
 2021年1月~9月の累積設備投資額は前年度同期間比11.6%増の34億7,900万NTドルに拡大した。当該期間の設備投資額は11億7,120万NTドルで、内訳はテスト24.5%、組立30%、LCDドライバ向け41.1%、バンプ形成向け4.4%となった。

Chipbond Techologies
 ディスプレイドライバICの組立・テスト、バンプ形成サービスを行っている。TVやモニタ向けに4K、8Kの高精細大型パネルの需要が堅調に推移、タブレットや車載用の中小型パネルの需要増、タッチコントロールICとディスプレードライバICを統合・集積化したTDDI製品の拡大が続いていることから、当該期間の売上高は前年度同期間比23.1%増の71億600万NTドルとなった。
 2021年1月~9月までの累積設備投資額は前年同期間比108%増の37億6,900万NTドルに拡大した。Li Hshin工場でのTDDI生産強化、Kuang Fu工場でのWLCSP加工能力の整備などに向けられたものとみられる。

OSE
 Orient Semiconductor Egineering(OSE)社の当該期間売上高39億4,900万NTドルで、前年度同期間比21.0%増も前期からは5.6%減となった。このうち、テスト・組立事業の売上高が前年度34.7%増の27億9,500万NTドルとなった。前期比は8.2%減となった。
 当該期間までの2021年累積全社設備投資額は5億3,100万NTドルで、前年度比56.1%増となった。高雄工場でのサブストレートタイプのパッケージ生産能力の拡大に向けられた。

KYEC
 King Yuan Electronics(KYEC)の当該期間売上高は前年度同期間比22.2%増の89億9,700万NTドルとなった。売上高の80%以上をテスト事業が占めており、組立事業は18%となっている。2021年度1月から9月までの累積設備投資額は前年度同期間比44.3%増の113億5,100万NTドルで、すでに前年度通期実績を上回っている。テスト業務は中国の2工場を中心に行っており、2021年の設備投資額の多くがこれらの工場に向けられているものと見られる。台湾には本社を含む3工場を稼働させている。

JCET Group
 中国の大手OSAT。子会社にはシンガポールのSTATS ChipPACがある。
 同社の当該期間の売上高は80億9,900万人民元(RMB)で、前年度同期比19.3%増、前期比14.0%増となった。四半期では史上最高の売上高となっている。営業利益は前年度同期比93.6%増の8億9,100万RMB、純利益は前年度同期比約20倍増の8億1,800万RMBとなった。携帯電話などの通信分野、自動車用IC、コンシューマ分野での需要増が大幅な成長につながった。
 第3四半期までの累積設備投資額は前年度同期間比46.1%増の30億1,300万RMBに拡大した。先端パッケージの生産能力拡大に向けて投資を行っている。

TSHT
 Tianshui Huatin Technology(TSHT)の当該期間売上高は32億4,800万RMBで、前年度同期間比47.5%増と大幅に成長した。前期比からも7.5%増となった子会社であるUnisem(マレーシア)の同四半期の売上高も同様に大きな成長を遂げている。
 TSHTの2021年1月~9月の累積設備投資額は前年度比90.9%増の40億1,100万RMBに拡大している。2020年に立ち上げている南京工場、宝鶏工場(陝西省)の生産能力増強に向けられた。

新光電気工業
 IC組立を含むICパッケージ事業の当該期間売上高は前年度同期比49.8%増の845億5,900万円となった。前期からは22倍増(122.1%増)となった。このうち20~25%程度がIC組立事業のものと推定される。先端パッケージ組立が事業の中心となっており、2021年度第1四半期(2021年4月~7月)以降、ハイエンドスマートフォン向けに受注が増加、売上高も拡大している。
 2021年度上期の全社投資額は371億円で、前年度同期間の3倍に拡大、前年度通期の投資額も上回っている。パッケージ関連投資が中心で、更北工場(長野市)、若穂工場(同)、高丘工場(長野県中野市)での、フリップチップタイプパッケージの生産能力強化に多くの投資が振り向けられている。

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