最先端AI半導体形成に使用される薄膜形成技術
掲載日 2026/09/16
1.最先端AI半導体の薄膜形成技術とは
GAA(Gate All Around)、CFET(Complimentary Field Effective Transistor)、BSPDN(Back Side Power Delivery Network)のような複雑構造では、ナノシート間の5〜10 nm空間やAR20〜30の深ビア内部に均一膜を形成する必要があり、コンフォーマル性を持つALD(Atomic Layer Deposition)が事実上の主役となる。一方、金属配線やハードマスクではスパッタが不可欠であり、Ru、W、Mo、Coなどの高密度膜形成にHiPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)や iPVD(Ionized Physical Vapor Deposition)が登場している。成膜技術は、材料工学・反応工学・形状制御の統合が必要な技術へ変化した。
歴史的には、1980年代はLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition) / PECVD(Plasma Enhanced CVD)による平面構造中心のSiO₂・SiN形成が主流であったが、1990年代の多層配線化でギャップフィルが課題となり、HDP(High Density plasma)-CVDが登場した。これは堆積とスパッタエッチを同時に行い、ボイドレス充填を可能にした革新的技術であり、3D構造時代の前夜を象徴した。2000年代にはHKMG(High K Metal Gate)導入によりALDが急速に重要化し、原子層反応制御による界面制御がデバイス特性を左右するようになった。2010年代のFinFET量産化では、TiN、W、Co、Ruなどの金属材料が増え、前駆体開発やプラズマ制御が成膜技術の中心課題となった。
図1.は、ALDの基本的な反応サイクルを示したものであり、自己終端的な表面反応によって原子層レベルで制御されることを説明している。ALDは、ウェハ表面に存在する反応基(ここではOH基)と前駆体分子が順番に反応することで、極めて均一で高品質な薄膜を形成する技術である。図の最初の段階では、ウェハ表面に多数のOH基が存在しており、これが次に導入される金属前駆体(M-Lₓ)の反応サイトとなる。前駆体が表面に到達すると、OH基と反応してリガンド(L)が離脱し、表面には金属原子Mが化学結合した状態が形成される。この反応は表面のOH基が尽きると自然に停止するため、過剰な前駆体が供給されても反応が続くことがない(自己終端性)。
次のステップでは、パージによって未反応の前駆体や副生成物が除去された後、水(H₂O)が導入される。水分子は表面のM–L結合と反応し、再びOH基を生成するとともに、離脱したリガンドがLHとして排出される。この反応も表面の反応サイトが尽きると停止し、結果として表面には金属酸化物(M–O)を含む1層分の薄膜が形成される。これらの2つの反応ステップ(前駆体パルスと水パルス)を1サイクルとして繰り返すことで、膜厚を原子層単位で積み上げることができる。
図1. ALD過程の原理
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