OLEDディスプレイ産業を支える国内企業の動向

OLEDディスプレイは、スマートフォンでは、2019年頃から液晶にとって変わり、応答性の速さや、鮮やかな表示から主力のディスプレイになっている。現在のスマートフォン向けの有機EL世界市場は、2021年は216億ドルとなっている。台trend forceの予測データによると、2023年の世界のスマートフォンパネル市場ではOLEDが50%を超えると予測している。また、テレビ市場においても、OLEDパネル搭載テレビは価格が下落していることから、シェアを伸ばしつつあり、2021年の出荷台数は前年比70%増の670万台となっている。さらに、近年ではVR機器やパソコン・タブレットといった分野においても広がりを見せている。ソニーが2023年2月に発売したVRゲーム機器、PSVR2には高精細のマイクロOLEDパネルが採用されている。

2000年代後期から、日本企業がこれまで主力で行なってきた液晶ディスプレイの生産は、サムスンやLGといった韓国企業へ移っていき、その後のOLEDでは、韓国のSamsungがスマートフォン向けパネルの大部分を、LGがテレビ向けパネルのほとんどを製造し、BOEを筆頭とする中国メーカーが価格の安さを武器にシェアを徐々に奪っている構図となっている。
 しかしながら、世界のOLED向け原料の生産国別では日本がトップシェアとなっている。また、後述するキヤノントッキのように、装置でもトップシェアを握っているものがある。
今回は、国内外で活躍する日本のOLED関連企業を紹介する。

 

①  ジャパンディスプレイ

ソニー・東芝・日立の中小型液晶ディスプレイ事業を統合して誕生したメーカーであり、黎明期のスマートフォンには、同社のスマートフォン向け液晶パネルが積極的に採用され、世界シェア1位だったものの、中国、台湾企業に価格面で押された事や、スマートフォンメーカーの有機ELへの転換によって、経営が傾いたが、投資会社からの支援や工場の売却によって存続している。現在はOLEDの開発にも力を入れており、2022年5月、世界初のファインメタルマスク蒸着を全く使用せずにマスクレスで有機材料を基板上に蒸着させ、フォトリソ方式でOLED画素を生成するeLEAPの量産技術を確立させた。既存のOLEDと比較すると、発光領域は既存OLEDの28%から60%に引き上げられ、OLEDの弱点であるピーク輝度、寿命、消費電力の飛躍的な向上が可能になっている。


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