半導体製造の生産能力は今後どうなっていくのか

掲載日 2024/09/20

2023年から2024年前半、COVID19後の在庫調整期間を経て、足元のAI(人工知能)サーバ特需に支えられサーバへの投資がふくらみ半導体市場を牽引しているだけでなく、既存のスマートフォン、PC(パーソナルコンピュータ)といったデバイスの需要も回復してきており、今後も世界の人口増と買い替え需要に支えられ、成長を続けることが見込まれる。それだけではなく、車のEV(電気自動車)化による半導体需要増、民間投資に政府の投資が加わるといったプラス要因は明確で半導体市場では、さらなる大きな需要増が見込まれている。


この需要増に応えるべく、製造能力増強への投資も積極的に行われウェハの生産能力は増加していく見込みで、もっとも多くの生産枚数を必要とするメモリ企業を除くとファンドリ企業の比率が最も高く、今後も成長がみこまれている(図1)。2024年から26年までで、約93万枚/月(8inch換算)も増加すると見込んでいる。ついでディスクリートの比率も大きく成長しているのがわかる。これは、米TIや独Infineonといった世界の大手が300mm工場に投資していくだけでなく、日本でも東芝、三菱、ルネサスがディスクリートの300mm投資をおこなうことに加えSiC、GaNへの積極投資が世界中で起きていることが要因で、ディスクリート製品の差別化にデバイス製造プロセスの違いが効いていることが背景にある。


ディスクリートは車載やロボット、ファクトリーオートメーションなどの産業機械に多く使用されるデバイスで、自動車の電動化やモータのインバータ化などに加え、送電ロスを減らし電力消費を抑える目的でディスクリート製品の需要拡大が見込まれている。


 デバイスの製造プロセスではなく、設計での差別化が進む製品は自社工場の拡張よりもファンダリへの委託枚数を増やしていくとみている。3nmの世界で米Intelが台TSMCに委託するのは良い例だが、最先端の世界以外でも製造能力のフレキシビリティを上げるためにファンダリを活用するIDM(Integrated Device Manufacturer)が存在する。


2024年以降は予想


広く報道されているように、TSMCはAIが牽引する5nm以下のテクノロジノードへの積極的な投資で製造能力を増やしていく。過去のTSMCの投資をみても、製造投資はほぼ先端向けで、これが他のファンダリとの差異化になっていた。


ところが、…

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