第一回 業界初心者の素朴な疑問 ~半導体の2nmとはなんですか?~
掲載日 2025/02/14
本コーナーでは、半導体業界初心者の筆者が抱く素朴な疑問を解消していく。筆者と同じく業界初心者の方や、改めて疑問を感じた方にぜひ読んでいただきたい。
昨今、北海道千歳市に建設されたRapidusの新工場が大きな話題となっている。同工場では、世界でもまだ実用化されていない2nm世代の半導体チップの量産を目指している。
今回は、「2nmとはそもそも何を意味するのか」「具体的にどのような用途があるのか」「本当に需要があるのか」といった素朴な疑問を解消していく。
そもそも2nmというのはチップ上の寸法ではない。[1]
かつて、半導体プロセスノードの「〇〇nm」はMOSトランジスタのゲート長(図1)を指していた。
図1. 2次元構造プレーナ型のMOSFET
ゲート長は、nチャンネルMOSトランジスタの場合、電子がソースからドレインへ移動する長さを表し、短くなればなるほど、短時間で移動できるため、微細化で性能が向上する。そこで、当初はゲート長を最少寸法として表した。ただし、ゲート長があまりにも短いと、短チャネル効果と呼ばれる現象により、リーク電流が増えてしまう。その結果、消費電力も増加し、トランジスタを集積化できなくなる。そこで半導体の開発はゲート長の微細化ではなく、配線の幅や間隔を狭くするようになり、最小寸法はメタルピッチ(配線幅+間隔、図2)で表現されるようになった。
図2. メタル配線の例 (出典ITRS)
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