半導体パッケージの多様化に伴い進化するモールディング工程

半導体パッケージは、完成された半導体ウエハからダイシングされた半導体チップをパーティクルや熱、光、湿気、衝撃から守るため、ボンディング後にモールディング(樹脂封止)する。 しかし近年、モールディング工程では半導体パッケージの多様化が進むとともに、そのプロセス及び製造装置/材料企業にも変化が生じている。
今回はモールディング工程の動向について特集する。

表1.モールディング工程別のまとめ

トランスファモールディング装置市場では中国企業がキャッチアップ

トランスファモールディングは従来型の樹脂封止装置である。プランジャを駆動させることによって、溶融した樹脂がランナーと呼ばれる通路を通って複数のシリコンダイ(ボンディング済み)を格納してある金属容器(キャビティ)に注入され硬化する。 キャビティに樹脂を供給する際、従来は一箇所から横方向に樹脂を供給する方式であったが、長い流路で硬化した樹脂が多量の廃棄物になる、供給箇所と各キャビティ間の距離が異なるため、キャビティ同士で成形条件が一致しないという問題があった。TOWAはキャビティと近接する複数の穴から樹脂を供給するマルチプランジャ方式を採用した。この改善によって、樹脂使用効率の大幅な改善と成形品質の向上、樹脂成形サイクルの大幅な短縮が可能となった。 同方式にはシングルプランジャとマルチプランジャの二方式があり、前者は大口径タブレット(熱可塑性樹脂を圧縮して固めた円筒材料)を高周波加熱した後に流路へ投入するが、後者は小口径タブレットを投入するので、高周波加熱の必要がない。 トランスファモールディング装置の日本市場ではTOWA、海外市場では、蘭ASM pacific社、蘭Besi社のシェアが高いと推定している。有力OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly &Test)が多く、中国パッケージ市場は拡大しており、中NEXTOOL TECHNOLOGY社がトランスファモールディング装置市場に上市した。同社は成形精度、金線打ち抜き、システム全体の安定性の点で日本企業と近い性能を有しており脅威となっている。 封止樹脂材料市場では、住友ベークライトとレゾナックが高いシェアを保持している。 半導体パッケージの大半は古くからのトランスファモールディング方式で生産されており、装置・材料ともに市場の大半はトランスファモールディング向けと推定している。

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