国内パワー半導体メーカーのDX化の取り組み

掲載日 2025/10/10

半導体デバイスの進化による産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化は、製品の在庫管理や、各プロセスの工程管理、効率化、プロセス毎の工程データを統合により新たな要因の発見に貢献している。

 それら産業のDX化は、半導体製造においても様々なメリットをもたらしている。例えば、半導体業界に巨大な影響力を持つ米NVIDIA、蘭ASML、台TSMC、米SynopsysはNVIDIAのGPU(画像処理プロセッサ)を活用し、リソグラフィの高速化を達成するなど、DXを活用してフォトマスク設計の高速化を達成した。1)

 このように、先端プロセスの分野では、複雑化する設計への対処、取り扱うプロセスの微細化、複雑化を背景にDX化が大きく進展している。

 一方で、日本国内メーカーの半導体工場はRapidusやキオクシアを除いて、先端プロセスを用いた製造ではなく、レガシィプロセスによる製造が大半となっている。特に、これまで日本が強い分野であったパワー半導体は、6インチや8インチによる製造が主だったこともあり、古い装置が多く、DX化が困難である。一方で、海外のパワー半導体メーカーである独Infineon TechnologiesはSiの他、SiC,GaN分野でも売上を拡大、着実にシェアを広げている。また、STMicroやOnsemiは欧米の自動車メーカーへのSiCの供給によって、シェアを拡大させている。更に、中国ではBYDやHangzhou Silan Microelectronicsといった企業が、売上を拡大させている。今後日本のパワー半導体メーカーが世界でのシェアを高めていくためには、DXを効果的に用いた戦略が欠かせない。今回の特集では国内のパワー半導体メーカーのDX化戦略に焦点を当てた。

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