SiCデバイス製造プロセスとSiC製造装置の動向

1.拡大するSiCデバイス向け投資

 新しいパワーデバイスとして普及が進んでいるのが基板にSiCを採用したパワーICである。SiCデバイスは、Siデバイスに比べて、耐圧性、高電圧化での高速動作、耐熱性に優れている。このため、パワーデバイスに応用した場合、「電力効率の向上」、「小型・軽量化」が可能になり、これらの特徴を生かして電力密度を向上させ、より大きな電力をより小さな回路で扱うことが可能になる。さらに電力損失の低減、システムの長寿命化などによる「システムコストの低減」が期待できる。
 このような特徴から電気自動車(EV)のインバータ、充電器、発電設備のパワーコンディショナー、データセンタや産業設備の無停電電源など様々な分野に広がりを見せている。特にEV用のSiCインバータは急速に需要を拡大し、SiCデバイス市場を牽引している。
 SiCデバイスの需要増加に対応するため、参入する半導体メーカーは新工場、新ラインへの積極投資を進めている。各社のSiCデバイス向け新工場、新ラインの計画は以下の表になる。主要なSiCデバイスメーカとして、スイスSTMicroelectronics社、独Infineon Technologies社、米Wolfspeed社、米Onsemi社、ローム富士電機三菱電機ルネサス エレクトロニクスの動向を取り上げている。

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