SEMICON Japan 2025 各社出展情報
掲載日 2025/12/15
半導体産業における製造技術、装置、材料をはじめ、車やIoT機器などのSMARTアプリケーションまでをカバーする、エレクトロニクス製造の国際展示会、SEMICON Japan 2025が12月17日(水)から12月19日(金)まで東京ビッグサイトにて開催される。
本稿では各社が発表している新製品や出展情報を前工程、中工程、後工程ごとにまとめる。
◾️前工程の注目出展・技術
前工程では近年、2nm世代以降の微細化に対応するため、露光装置をはじめとした精密装置の高度化や、EUVレジスト・マスクの高性能化が進められている。加えて、微細パターン形成を支えるエッチングや配線技術の高度化も強く求められている。
キヤノン(小間番号S2620)
キヤノンは前工程から後工程までをカバーする幅広い製造装置を展示する。前工程ではナノインプリント装置・露光装置・スパッタリング装置・成膜装置など、多様なラインアップを展開する。
注目出展としては、最小線幅14nmのパターン形成ができるナノインプリントリソグラフィ装置「FPA-1200NZ2C」を展示する。ナノインプリントはウエーハ上のレジストに回路パターンを刻んだマスクをハンコのように押し付けて回路パターンを形成する装置であり、既存のArF液浸やEUV露光装置の1/10の電力消費量に抑えることが可能だという。
図1.ナノインプリントリソグラフィ装置 FPA-1200NZ2C,キヤノンHP, https://global.canon/ja/product/indtech/semicon/fpa1200nz2c.html
住友重機械工業(小間番号W2637)
住友重機械工業は、真空対応の高精度位置決めステージ(CA/CSシリーズ、SA-GⅡシリーズ)、酸素イオン照射装置「Reactive Nion©」やRPD成膜装置、MCZ用超電導マグネット、そして省エネ型クライオポンプや真空ロボットなど、精密位置決めから成膜・真空技術まで、製造工程を幅広く支える製品群をアピールする。
図3. クライオポンプSICERA®,住友重機械工業HP, https://www.shi.co.jp/products/mechatronics/pump/index.html
日揮ホールディングス(小間番号W1165)
日揮ホールディングスはグループ4社で共同出展し、プラント建設やEPCサービス(日揮グローバル)、ウエーハ研磨・CMP用素材(日揮触媒化成)、高精度装置部品(日本ファインセラミックス)など、製造ライン全体を支えるトータルソリューションを紹介する。
日本精工(小間番号E5708)
日本精工は「MORE THAN PRECISION」をテーマに半導体向けの高精度ソリューションを紹介する。主な展示は、超低発塵のボールねじ・リニアガイド(参考出展)、高精度アライメントテーブル(初出展)、真空環境対応XYテーブル、ハイブリッドXYテーブル、そしてAIを活用した状態監視ソリューション。特に注目展示として「Beyond 2nm」と言われる次世代半導体製造技術開発を見据えた、超低発塵の仕様のボールねじ・NSKリニアガイドを展示する。
図4. 超低発塵シリーズ:ボールねじ、リニアガイド,日本精工HP, https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2025/semicon-japan-2025/
◾️中工程の注目出展
面積あたりの集積度を高める手法として、2.5D、3D実装やチップレットが近年大きく注目されている。これらの実装技術を支える重要な領域が中工程であり、WLP(Wafer Level Package) や FoP(Fan-Out Package)、RDL (Re Distribution Layer)などの配線形成・薄化プロセスが中心となる。また、近年はガラス基板の適用拡大や光電融合パッケージといった新たな技術も注目を集めている。
パナソニックコネクト(小間番号E5535)
パナソニックコネクトはドライエッチング装置をはじめ、最新の前・後工程技術や高コストパフォーマンス装置を展示する。中でも、SEMICON JAPAN直前に発表したハイブリッド接合システムは、TSMCを始め、チップレットパッケージに取り組む先端半導体メーカーが本格量産に向けて開発を進めている分野であり、注目度が高い。詳細をSEMICON JAPANで公開するとしており、ぜひチェックしておきたいところだ。
上村工業(小間番号E4407)
上村工業はRDLやTSV、バンプ形成など先端実装で重要となる電解銅めっき・Sn-Agめっき、さらにホルムアルデヒドフリーの無電解銅めっき浴など、ウエーハレベルでの微細配線形成に貢献するプロセスを展示する。
また、薬液管理システム「ケミロボ3」や、UBM/PLP対応のめっき装置「スピードプレーター」など、装置・液管理のソリューションも紹介する。
図5. UBM/PLP めっき装置「スピードプレーター」,上村工業HP, https://www.uyemura.co.jp/development/pickup-products/ubm-plp-めっき装置-2/
富士フイルム(小間番号E5620)
富士フイルムは、RDL形成やファンアウトパッケージ向け絶縁材料、ガラス基板や異種材料との接合を可能にするアンダーフィル・接着材料など、中工程の多層配線形成に関連する素材について展示する。
SiP・チップレット化が進むなか、熱設計・信頼性向上といった課題に応える材料ラインアップを提示し、次世代アプリケーションに向けた総合的な材料ポートフォリオをアピールする。
大日本印刷(小間番号E5936)
大日本印刷は、TGV対応ガラスコア基板や光電融合チップレット向けの光電コパッケージ基板について展示する。ガラスコア基板は従来の樹脂基板に代わる大面積対応のガラスコア基板であり、高密度配線や高周波対応、さらには高信頼性パッケージの実現に寄与する次世代基板として期待されている。
また、光電コパッケージ基板は光導波路を内蔵した構造により、高速かつ大容量のデータ伝送と省エネルギー性を同時に実現するもので、AIやデータセンター向け需要の拡大を背景に、次世代パッケージ技術として提案されている。
◾️後工程・検査・計測の注目出展
後工程では近年、2.5D、3D実装やチップレットなどの先端パッケージ技術が注目されている。また、検査・計測工程においても、微細化や先端パッケージへの対応に向けた高精度化が強く求められている。
IBM(小間番号A1111)
IBMは、「Inventing What’s Next」をテーマに、パフォーマンスと電力効率を追求する前工程の微細化技術、微細化の限界を超える後工程の最新パッケージング技術、さらにSiViewを中核とした半導体製造工場のオートメーション化技術など、半導体に関する最前線を体験的に理解できる展示をする。
また、脳の構造に着想を得た超低消費電力AIチップや、生成AIを支えるAI アクセラレーター、AIを活用した材料開発支援プラットフォームなど、AIの進化を支える半導体研究にもフォーカス。さらに、今年は最新の量子コンピューターIBM Quantum System Twoのレプリカを展示する。
図6. IBM Quantum System Two,IBM HPニュースリリース, https://jp.newsroom.ibm.com/2025-06-23-ibm-and-riken-unveil-first-ibm-quantum-system-two-outside-of-the-u-s
DIC(小間番号W3340)
DICはSEMICON JAPANに初出展する。RDL、TSV、バンプ形成といった中〜後工程で用いられるレジスト向けのポリマー材料である「特殊ノボラック樹脂 PHENOLITE®PR-700」シリーズや、高耐熱、高エッチング耐性、高ブロック性を備えた下層膜向けのモノマーなどを展示する。
ヤマハロボティクス(小間番号E4836)
ヤマハロボティクスは後工程向けのパッケージング・実装装置を紹介する。出展ブランドは統合ブランドの SHINKAWA、APIC YAMADA、PFAで、ダイボンディング、フリップチップ配置、ワイヤーボンディング、封止・モールド、搬送・検査装置など、半導体完成品の組立・検査工程をカバーする装置群を展示予定。
三星ダイヤモンド工業(小間番号E6708)
三星ダイヤモンド工業は従来のダイシング(切削)とは異なる、独自の「スクライブ&ブレイク(SnB)工法」のメカニズムを、実際に分断体験できる展示をする。また、SiCやGaN、Glassなどを切断する新型のウエーハ分断装置「DIALOGIC PLUS+」の技術詳細を初公開する。
図7.ウエーハ分断装着「DIALOGIC Plus」,三星ダイヤモンド工業HP, https://www.mitsuboshidiamond.com/news/2025100102/
検査・計測装置
タカノ(小間番号E4726)
タカノは検査装置を中心に紹介する。展示内容には、ナノレベルの異物を検出するウエーハ表面検査装置やパターン欠陥やクラックを捉える外観検査装置、高機能フィルムの外観検査装置、さらに装置校正用のPSL粒子塗布ウエーハなどが含まれ、微細化が進む半導体製造の歩留まり向上に貢献するソリューションを幅広く展示する。
新製品としてWLP向けバンプ検査で定評のある「ALTAXシリーズ」を更に進化させ、PLP向け角基板やガラスコア基板にも対応可能な2D検査と3D検査を高度に融合したNew「ALTAX」を紹介する。
図8.バンプ高さ測定装置「ALTAX」,タカノHP, https://www.takano-kensa.com/kensa/products/semiconductor/altax/
ミツトヨ(小間番号E4712)
ミツトヨは白色干渉方式による非接触3D計測システム「クイックビジョン WLI Pro」、高精度・高速測定に対応した各種CNC画像測定機「クイックビジョン」シリーズ、白色光干渉光学ユニット「WLI-Unit」、焦点距離可変レンズ「TAGLENS」、装置組込顕微鏡ユニット「VMU」などを展示する。微細化が進むウエーハ、ガラス基板、パッケージ基板などの形状測定・表面性状評価・高スループット検査に対応する最新技術を紹介し、品質管理や歩留まり改善に貢献するソリューションを示す。
図9. 非接触3D計測システムクイックビジョンWLI Proシリーズ,ミツトヨHP, https://www.mitutoyo.co.jp/index.php/news/2025-11-17
◾️まとめ
SEMICON Japan 2025は公式テーマとして「AI × サステナビリティ × 半導体」を掲げ、AI時代の計算需要に応える最先端技術と、持続可能な製造を支えるソリューションが多数出展されている。
前工程では、2nm以降を見据えた低発塵ボールねじや真空環境対応ステージ、プラズマ技術、新材料対応プロセスなど、微細化と高効率プロセスを支える基盤技術が進化している。
一方、中・後工程ではチップレット・先端パッケージングを中心に、ガラスコア基板やPLP対応基板を含む高密度パッケージ技術、フリップチップやワイヤーボンディング、封止などの技術が強化されている。また、高精度3D計測や歩留まり改善に直結する検査・計測装置の存在感も増している。
さらにAIを用いた材料開発、工場オートメーション、量子技術など、半導体の周辺領域も拡大している。
ここで紹介した企業はごく一部で、全体では昨年を上回る1,200社(団体)を超える出展者がブースを構えることから、見どころの多い展示会になることは間違いないだろう。
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