2021年4月~6月期 半導体製造装置企業の売上動向

掲載日 2021/08/05

 大手半導体製造装置企業の2021年4月~6月期の売上高も前年同期から大幅な成長が続いている。ただ、前四半期が多くの日本企業では年度末にあたるため、売上高が拡大したこともあって、日本企業を中心に前期比マイナスとなっている企業も見られる。これは前四半期に対する相対的なもので、各社とも成長ペースを維持しているものとみられる。

大型成長続く海外ウェーハプロセス装置企業

 ウェーハプロセス装置では、エッチング装置の米Lam Research社、リソグラフィ装置のオランダASML Holdings社が40億米ドル以上の売上高を記録している。
 Lam Researchの同期売上高は41億4,500万米ドルで、前年度同期比48.5%増、前期比7.7%増となった。3D NAND型フラッシュメモリ向けに加えて、表面処理加工を中心にロジック/ファンドリ分野でも実績を拡大した。アプリケーション別の売上高構成比率はフラッシュメモリが49%、DRAM10%、ファンドリ35%、ロジック/その他が6%となった。
 ASMLの同期売上高は40億2,000万ユーロで、前年度同期比20.9%増となった。受注額は前四半期から1.7倍増の82億ユーロとなっている。システム別出荷台数はi線が9台、KrFが31台、ArF(ドライ)が7台、ArF液浸が16台、EUVが9台。エンドユーザ別構成比率はロジック72%、メモリ28%。地域別構成比率は韓国39%、台湾36%、中国17%、米国6%、日本1%、その他1%となった。
 2021年度第3四半期の売上高は52億~54億ユーロと予想している。
 オランダ ASM International社の売上高は4億1,170万ユーロで、前年度同期比20.5%増、前期比でも4.5%増となった。主力製品であるALD装置がロジック/ファンドリ向けに大幅に売り上げを伸ばした。2021年度第3四半期売上高は4億~4億3,000万ユーロを予想している。
 米Veeco Instruments社の半導体製造装置売上高は5,200万米ドルで、前年度同期比42.1%増、前期比3.8%増となった。化合物半導体向け装置は2億4,000万米ドルとなった。レーザアニーリング装置のほか、MOCVD/MBE/ALDの薄膜形成装置で化合物半導体を含めて実績を残している。

国内ウェーハプロセス装置企業も堅調

 SCREENホールディングスの半導体製造装置(SPE)事業(SCREENセミコンダクターソリューションズが担当)の売上高は前年度比12.8%増の597億5,300万円となった。地域では中国が、アプリケーションでメモリが大幅に拡大した。受注も好調が続いており、四半期として過去最高の933億円にまで拡大。受注残高も1,486億円と1,000億円を突破している。SPE事業の通期売上高見通しは3,005億円としている。
 キヤノンの露光装置事業の売上高は前年度比81%増という急拡大となった。半導体用露光装置の売上台数は30台と前年同期とほぼ同じ(1台減)だが、期初計画を上回った。FPD用装置に関しては前年度の4台から17台に拡大した。半導体用装置に関しては、2021年度通期で149台の出荷を計画している。
 日立ハイテクの売上高は、同社が中核を占める日立製作所ライフセグメント事業内の計測分析システム事業の売上高を示している。2021年度第1四半期は画像診断関連事業を売却した影響から、前年比二桁減となった。測長SEM、エッチング装置といった半導体製造装置事業(ナノテクノロジーソリューション)は好調を維持しているという。半導体製造装置の売上高は2020年度(2021年3月期)で2,186億円、日立ハイテク全体の約30%を占めていた。
 日新電機のビーム・プラズマ事業は子会社である日新イオン機器で行っているイオン注入装置が中心となっている。同事業の売上高は65億6,200万円で前年度同期比41.8%増となった。中国向けFPD用イオン注入装置の売上増が牽引している。
 ロボットメーカであるローツェの2021年度第1四半期(2021年3月~5月)売上高は144億4,200万円で、前年度同期比33.2%増、前期比14.5%増となった。半導体関連装置の同期売上高は前年度同期比52.8%増の122億4,200万円となった。米国・中国の半導体製造装置メーカ向けにEFEMの売上高が拡大、台湾のファンドリ向けにウェーハソータの売上高が増加した。
 2021年度通期では、全社売上高は6億300万円、半導体関連売上高は471億円を予想している。

組立装置/試験・検査装置:成長が加速

 組立装置/試験・検査装置も大きな成長を記録している。
 ディスコの同期売上高は前年度比35.4%増の482億9,100万円となった。ダイシングソー、グラインダがアジア地域向けを中心に好調に推移した。これに伴い、ダイシングブレードなどの消耗品も売り上げを伸ばした。全社売上高に対する製品別構成比率はダイサが38%、グラインダが21%となった。成長率はダイサが前年度比26%増、グラインダは同36%増となった。上半期の全社売上高は、前年度同期比27.9%増の1,064億円と予想している。
 ダイシング装置、グラインダ装置、ウェーハ・プローバなどを提供している東京精密の半導体製造装置部門の売上高は前年度同期比47.7%の227億9,600万円となった。車載半導体向け、パワー向けの製造装置が堅調に推移、地域別では中国での需要が高水準で推移した。受注高は339億円、同期末の受注残高は600億円を突破(617億円)している。2021年度通期では前年度比28%増の920億円を予想している。
 アジア地域に大きな実績を持つシンガポールASM Pacific Technology社の同期売上高は前年度比38.2%増の6億6,660万米ドル(51億7720万香港ドル:HKドル)で、過去最高となった。同期受注額は前年度から2.4倍となる9億4,260万米ドル(73億2,270万HKドル)にまで拡大している。2021年上期の売上高は同41.5%増の12億3,000万米ドル(95億1,420万HKドル)となった。OSATを中心にアジア地域での組立装置需要の拡大が、大幅な売り上げ増につながっている。
 同期の半導体製造装置事業の売上高は4億800万米ドル、ダイボンダ、ワイヤボンダ、テストハンドラの主力装置がいずれも堅調に推移した。また、パネルレベルに対応するメッキ装置(ECD装置)の受注も立ち上がった。表面実装用装置売上高は2億5,900万米ドルとなった。
 アドバンテストの同期売上高は前年度比45.5%増の971億1,600万円となった。受注はさらに好調で、前年度同期から2.6倍増の1,612億円にまで拡大している。半導体テスト事業の売上高は同59.2%増の673億円。ハイエンド用途向けを中心にSOCテスタの売上高が前年度同期比2倍の512億円に拡大した。メモリテスタも横這いの172億円を維持した。ハンドラ、デバイスインターフェースを含むメカトロニクス事業の売上高は同29.1%増の115億円となった。2021年度通期売上高については、テストシステム事業が前年度比27%増の2,630億円、メカトロニクス事業が同20%増の480億円と予想している。
 テスタメーカである米Teradyne社の2021年度第2四半期売上高は10億8,600万米ドルで、前年度同期比29.4%増、前期比38.9%増となった。2021年度上期売上高は前年度比21.0%増の18億6,700万米ドルとなった。2021年度第3四半期については、8億8,000万~9億6,000万米ドルと予想している。
 半導体テスト事業の売上高は前年度比27%増の8億3,400万米ドルとなった。SoC向け、ワイヤレス製品向けのテスタ需要が好調に推移した。
 検査装置の米KLA社の2021年度第4四半期(2021年4月~6月)売上高は19億2,500万米ドルで、前年度同期比31.8%増、前期比6.7%増となった。ウェーハ検査装置の売上高が7億4,000万米ドル、マスクを含むパターンニングの検査装置が4億2,800万米ドル、MEMS、化合物半導体など特殊分野の検査装置売上高が8,200万米ドル、プリント基板/ディスプレイ/部品向けの検査装置が1億8,400万米ドル、サービスが4億4,400万米ドルとなった。

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