コーター/デベロッパ マスク描画装置、マスク欠陥検査装置

EUVリソグラフィシステムは、ロジックでは2020年から導入が本格化、5nmプロセスが立ち上がる2021年から量産利用の加速が見込まれている。メモリでも、2021年から本格導入が開始される。
 EUVリソグラフィシステムの導入に伴い、コータ/デベロッパ、マスク製造装置、マスク欠陥検査装置といったEUVリソグラフィプロセスを支える周辺装置でも需要が広がりをみせている。
 ASMLが独占していると同様に、周辺機器市場でも寡占化が進んでいる。しかし、装置メーカの主役は日本企業となっている。今回は、それらの機器の動向をまとめていく。

1.コータ/デベロッパではTEL

 コータ/デベロッパ市場は他の装置と同様、2018年に大きく成長、2019年には急落したもの、2020年からは再び成長に向かっている。その成長を支えているのがEUVリソグラフィ対応装置である。EUVリソグラフィシステムの出荷に伴い、対応のコータ/デベロッパの需要も成長している。
 コータ/デベロッパ市場は東京エレクトロンが80%以上のシェアを占める独占市場である(図)。EUVリソグラフィ用システムでは100%のシェアとなっている(2020年12年末時点)。主力製品は「Lithius Pro Z」。
 同社はEUVシステム導入を進める台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)、韓国Samsun Electronicsのトップベンダーであり、早い段階からEUVリソグラフィの実用化開発に向けて協力してきた。装置メーカのASML、世界的な研究機関であるIMECなどの開発にも協力している。このような関係性もあり、今後も同社の市場独占状態は続くものと見られる。

2.マスク描画ではマルチビーム電子線描画装置に期待

 EUVシステムは、それまでのステッパ/スキャナとは違い、マスクパターンの縮小投影にレンズではなく、多層膜ミラーを組み合わせた反射光学系を利用する。さらに微細なマスクパターンの形成が要求される。
 マスクパターン描画に関しては、量産第1世代と言える現状ではレーザービーム(LB)描画が中心となっているが、2023年に向けてマルチビーム電子線描画(EB)装置の採用が期待されている。従来からマスクパターン描画に使用されていた可変成形ビーム(VSB)型EB装置では、膨大なマスクデータを微細に描画することが難しい。このため複数のビームで同時に描画を進めることのできるマルチビームEB装置の導入が期待されている。
 日本電子がオーストリアIMS社と共同開発したマルチ電子ビームマスク描画装置「MBMW-101」(IMSが製品化「MBMW-101」)は、26万本の電子ビームを照射することで、高解像レジストの使用が可能となり、曲線を含む複雑なパターン形状に対しても描画時間を大幅に短縮できる。また、高精度リニアステージを採用することで、描画精度の向上を実現している。IMSがビーム系、日本電子が高精度リニアステージを開発。それらを融合し、量産装置とした。製造は日本電子で行う。
 このようにマルチビームEB装置については、すでに量産レベルとなっている。同社では。台湾・韓国を中心とした旺盛な投資で2025年には年間20数台の需要も見込めるとしている。
 日本電子では需要増に対応するため生産体制の強化を進めている。昭島工場での年産10台体制から、2021年度下期に武蔵村山・新工場での生産体制を構築し、早期に同20台体制まで拡張することから、リードサプライヤーとして供給力を高めていく。
 今後、DUV用マスク描画装置装置メーカーであるニューフレアテクノロジーなどを含めて開発競争が進むものと見られる。
 マスクメーカの大日本印刷(DNP)では、マルチビームEB装置に独自開発したレジストプロセスを組み合わせたEUVマスク製造プロセスを開発、2020年10月に発表している。

3.マスク欠陥検査装置ではレーザーテックが先行

 マスクブランクス欠陥検査装置、マスク検査装置ではレーザーテックが独占状態にある。同社は2010~2015年度に、EIDEC(株式会社EUVL基礎開発センター(現・株式会社先端ナノプロセス基盤開発センター))の共同研究先という形で、NEDOの「次世代半導体微細加工・評価基盤技術の開発」プロジェクトに本格的に参画した。 EIDECは、ブランクメーカー、デバイスメーカー、そしてマスクメーカーなどによって共同設立された研究開発組織で、EUVリソグラフィにおける基盤技術の研究開発を目的として、マスクブランクスやフォトマスクの欠陥検査および評価技術なども開発していた。この開発を活かして2017年にEUVマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置「ABICS」を開発、同分野で100%のシェアを獲得している。
 さらに2019年にはEUV光を適用したEUVマスク検査装置「ACTIS A150」を世界に先駆けて開発、発売した。EUV用マスク検査装置分野でも100%のシェアを獲得している。
 DUV用マスク欠陥検査装置メーカであるKLAもEUV光を利用したマスク検査装置の開発を進めており、2023~2024年頃には量産装置として導入も期待されている。これにより、DUV用マスクと同様、EUVマスク用でも両社間の実績争いが厳しくなっていくものと予想される。

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