半導体用語集

コヒーレント光通信

英語表記:coherent optical communication

 光の時間コヒーレンスを利用し、搬送波の位相、周波数、偏波などに情報を乗せて伝送する方法。狭義には、光ヘテロダイン検波や光ホモダイン検波を用いて光信号の検出を行う通信方式を指す。
 通常の光通信では、光の強度を変調して情報を乗せ、受信する際には光信号を直接フォトダイオードなどの光検出器で受けて、光の強度を電気信号に変換する(強度変調/直接検波方式と呼ばれる)。一方、光ヘテロダイン検波を用いたコヒーレント光通信では、搬送波の位相や周波数を変調して情報を乗せ、信号光と局部発振光(局発光、参照光とも呼ばれる)と混合して光検出器で受けることにより、信号光電界の複製を電気信号として取り出し、変調方式に合わせて復調される。信号光電界の振幅や位相情報などはすべて電気信号に保存されるため、無線通信で用いられている様々な変調方式をそのまま光領域で用いることができる。
 光の搬送波の周波数や位相に情報を乗せるためには、半導体レーザの注入電流を変調して周波数チャープさせる方法や外部変調器を用いる方法が用いられる。また、光ヘテロダイン検波や光ホモダイン検波のようなコヒーレント検波方式では、光検出器の他に局部発振光源などが必要であり、直接検波方式と比較して受信機の構成が複雑になるだけでなく、使用する光源には非常に高い周波数安定性とスペクトル純度(スペクトル線幅)が要求される。
 コヒーレント方式の特徴は、高い受信感度と周波数選択性である。直接検波方式では受信感度が主に受信回路の回路雑音に制限されるのに対し、コヒーレント方式では主として局部発振光のショット雑音で制限されるため、ショット雑音限界に近い高い受信感度が実現できる。このため、受信感度の向上が伝送距離の延伸やビットレートの増大に結びつくようなシステムにおける応用が期待されている。また、占有する光の帯域がほぼ信号帯域と同程度であり、周波数軸上で多重化された場合でも電気信号に変換された後でチャネルを分離できるため、周波数選択性の高い受信機を構成することが可能である。

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