半導体用語集

フェムト秒レーザ分光

英語表記:femt-second laser spectroscopy

 パルスレーザを用いて物質を光励起した後に、その励起状態がどのように時間発展していくのか、その動的挙動を時間領域で調べることは時間分解分光によって可能になる。フェムト秒レーザ分光とは、このような物質の光学応答をフェムト秒の時間領域で観測する手段である。特に半導体における位相緩和はフェムト秒領域で起こるため、位相情報が残るコヒーレント状態の過渡応答を調べるにはフェムト秒レーザ分光が有用となる。
 超高速現象の時間分解分光はポンプープローブ分光や四光波混合などの非線形分光と発光分光などの線形分光に大別される。ポンプープローブ分光では励起パルスによる励起状態の時間発展を、それに伴う吸収、反射の変化として別のプローブパルスで観測する。四光波混合はさらに別のパルスを加えることにより、その回折光を観測することで位相緩和に関する知見をえることが可能である。フェムト秒領域の発光測定は非線形光学結晶を用いた上方変換法が用いられる。発光とプローブ光を非線形結晶で混合させ、その位相整合を取ることにより和周波を発生させ、分光する。この他にもラマンやテラヘルツ光を用いた方法、位相相関を観測する方法など、様々な方法がある。これらは観測対象、測定条件に応じて選択される。
 時間分解分光における励起パルスとプローブパルスの時間差は可変遅延路を用いてパルスの伝搬距離を変化させることで行う。この時、時間分解能はパルスの時間幅で決まり、超高速現象を測定するには100Fs以下の時間幅を持つフェムト秒パルスを用いる必要がある。このような時間幅を持つ安定なパルス列はモード同期技術によって実現される。モード同期技術とは、多モードレーザにおいて光が共振器内を往復する時間に合わせて強度変調を行うことにより、モード間の位相をそろえた状態でパルスを生成することを可能にする技術である。さらにレーザ媒質中の自己収束効果を利用することで自己モード同期が可能となる。この自己モード同期では、特殊な光学系を用いることなしにフェムト秒パルスを安定に作り出すことが可能となる。

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