半導体用語集

分布帰還型共振器

英語表記:Distributed Feedback cavity

 周期構造媒質中におけるブラッグ反射を用いて光の帰還をえるもので、共振器全体にわたって周期構造を持つものを分布帰還(distributed feedback)型と呼ぶ。類似の構造で、周期構造を両端の反射鏡として用いる分布反射 (distributed Bragg reflector)型がある。分布帰還型共振器はレーザ発振器、特に光通信用の半導体レーザに広く用いられている。分布帰還型半導体レーザと呼ばれるこれらの半導体レーザでは、分布帰還型共振器と光学利得を発生する活性層とが一体化されることでレーザ共振器を構成する。半導体結晶の劈開面を反射鏡とする、いわゆるファブリ・ペロー型の半導体レーザに対して、分布帰還型半導体レーザの特徴は、(1)発振波長が周期構造のブラッグ波長で決定されるため、発振波長の制御が容易であること、(2)ブラッグ反射の波長選択性から単ースペクトルでの発振がえられること、(3)半導体の劈開を用いることなくレーザ共振器を形成できるため、他の半導体光デバイスとのモノリシック光集積が可能であること、などがあげられる。分布帰還型共振器の周期構造の周期(Λ)とブラッグ波長(λ)との間には、mλB=2nΛ (nは媒質の屈折率、mは次数で1以上の整数)の関係がある。分布帰還型半導体レーザの場合、帰還効率の高い一次のブラッグ反射を利用することが一般的である。発振波長が1.3~1.55µmの光通信用分布帰還型半導体レーザの場合、周期構造の周期は200~240nm程度となる。これらの微細周期構造はレーザ光の干渉を利用した二光束干渉露光や、電子ビーム露光によって形成されるのが一般的である。レーザの単ースペクトルでの安定動作や高効率動作のために、共振器の一部に周期性が反転した位相シフト領域を設けたり、周期構造の回折効率を共振器方向で変化させた構造なども試みられている。最近では、分布帰還型共振器の波長選択性や、ブラッグ波長付近の分散を利用して、光ファイバやガラス導波路に周期構造を形成した波長フィルタや分散等化素子も開発されつつある。

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