半導体用語集

微小共振器レーザ

英語表記:microcavity laser

 共振器のサイズが発振波長と同程度のもので、自然放出過程が主な原因となるエネルギー損失、変調幅などのレーザ性能の改善を、自然放出過程の制御によって実現するレーザ。
 自然放出過程は原子系と輻射場との間に熱平衡状態を実現するために不可欠なものとしてEinsteinによって導入された。自然放出過程は原子系固有の性質と考えられていたが、量子論的には原子系と真空場の相互作用として理解すべきものであり、真空場を変調することによって自然放出過程は制御可能であることが認識されていった。共振器を用いた自然放出過程の制御は、1948年にE. M. Purcellによって理論的に自然放出率の増強と抑制が予測され、1989年にS, HarocheとD. Kleppnerによってマイクロ波領域ではじめて観測された。
 微小共振器レーザの性能を議論するうえで重要なパラメータとして自然放出結合率βというものがある。自然放出結合率は原子系から放出される全自然放出光と、注目している輻射場モードヘ結合する自然放出光の割合として定義される。微小共振器中では、自由空間中で等方的であった自然放出パターンが指向性を持つようになり、効率よくあるモードに自然放出光が結合するように制御できる。
 レーザのしきい値パワー以下における発光損失の最も大きな要因は、非レーザモードに結合する自然放出光であるので非レーザモードヘの結合を抑制すればしきい値パワーの軽減を期待できる。しきい値パワーは1/βに比例することが簡単な、レート方程式の解析から予想され、通常のレーザがきわめて小さなβを持つのに対し、微小共振器レーザは1に近い大きなβを持つことができるために、しきい値パワーの大幅な軽減を期待することができる。もしβ=1ならば、みかけ上しきい値パワーが入出力特性においてなくなる。
 レーザの振幅変調幅は、基本的に原子系の寿命τの逆数で規定されている。原子系の寿命τはしきい値パワー以下では、共振器中の自然放出率τspであるが、しきい値パワー以上では誘導放出過程によって減少させられる。原子系の寿命は次のように書くことができる。
  1/τ=1+βs/τsp
ここで、Sは共振器内光子数である。このことは、ある変調幅を持っためには、微小共振器レーザのように大きなβを持つレーザでは、少ない共振器内光子数、つまりは少ない励起パワーで実現できることを意味している。
 微小共振器レーザの具体的な構造は、一次元では垂直共振型面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser: VCSEL)構造が研究されているが、VCSEL自体はもともと自然放出制御が目的ではなく活性層体積の減少によるしきい値低減、また高集積化などが主な目的であった。しかしその構造が微小共振器レーザの実現に適しているためよく利用されている。また、輻射場制御の次元をさらに上げるために、フォトニック結晶(photonic crystal)構造を利用したものなどが試みられている。

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