半導体用語集

歪量子井戸レーザ(歪超格子レーザ)

英語表記:strained quantum well laser

 量子井戸構造を活性層に応用した半導体レーザのうち、量子井戸構造内のウェル層の格子定数を基板の値に対して意図的に変えることで、価電子帯のバンド構造を変化させた半導体レーザを歪量子井戸レーザという。ウェル層成長の際の組成比を格子定数が大きくなるように成長した場合を圧縮歪、格子定数が小さくなるように成長した場合を引っ張り歪と呼ぶ。ウェル層に圧縮歪を導入した場合、Γ点での重い正孔と軽い正孔のミキシングの影響が小さくなり、この付近での有効質量が減少するために、少ないキャリアの注入で大きな光学利得がえられるようになる。引っ張り歪をウェル層に加えた場合は、軽い正孔のエネルギーが重い正孔のそれよりも小さくなるため、電子と軽い正孔の光学遷移が支配的となり、通常のTEモードでなくTMモードの光学利得が増加する。歪を導入した成長層厚は、臨界膜厚を越えると転位が著しく増加し成長層の結晶品質を大きく低下させてしまう。歪補償構造はウェル層とは反対の歪をバリア層に導入して転位の発生を抑制するものであり、これにより10周期以上の多層構造の作製も可能となった。歪の導入により、しきい値電流の低減、微分利得の増加による高速応答特性改善、直接変調時の波長変動低減、スペクトル線幅の減少などが図られ、半導体レーザの発振特性は飛躍的に向上した。

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