半導体用語集

MEE法

英語表記:Migration-Enhanced Epitaxy

 GaAsのMBE成長では、Ga原料GaとAs原料As₄(またはAs₂)を同時に結晶基板に供給するが、これら原料を交互に基板表面に供給してGa原子の表面移動を促進させるエピタキシャル成長法をMEEという。
 通常のMBEにおける成長表面の凹凸は成長条件にもよるが、数分子層以上になっている。この表面凹凸は、供給されたGa原子が同時に供給されたAsと結合し、1分子層厚の微小なGaAsの島を形成していくが、この島は安定であり容易に表面を移動できないことから生ずる。MEE法では、Ga供給時にAsの供給を行わないために、安定なGaAsが形成されずGa原子は結晶表面を自由に動くことができ、基板表面上の1分子層厚のテラスの端のステップに到達し、テラスを成長させる。この際の成長をステップフロー(step-flow)成長といい平坦な二次元成長を可能にする。実際、RHEEDなどの詳しい観測により、1分子層ステップのきわめて平坦なGaAs成長が確認されている。
 GaAsの原子層エピタキシーにおいてもGa原料とAs原料を交互に基板上に供給する。しかしMEE法には、原子層エピタキシーにおけるような原子(分子)1層で自動的に結晶成長が停止する自己停止機構(self-limiting mechanism)はなく、Ga原子の供給量が成長速度を決定する。
 MEE法の成長では、Ga原子の表面移動が低温でも活発に行われるために、他の成長法にくらべて低い温度での結晶成長が可能である。実際As₄の過剰吸着をさけるために、As供給を厳密にコントロールしたGaAs­ MEE成長で、300℃程度での良好なエピタキシャル成長が可能になっている。


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