半導体用語集

Qスイッチング

英語表記:Q-Switching

 レーザ一般に、定常的には、励起原子数を大きくしていくと、光学的損失と光学的利得がつり合うしきい値に達したところでレーザ発振が始まり、同時に励起原子数がしきい値の値にクランプされる。一方、Qスイッチング動作では、可飽和吸収などの受動的な手段や電気的な能動制御で、励起の初期にはレーザ共振器のQ値(おおまかに光学的損失に逆比例する量)を低くしておいてレーザ発振を妨げ、十分に大きな励起原子数となった時点で急激にQ値を高くすることで、それまで共振器内に蓄えたエネルギーを短時間で一気に、尖頭パワーの大きいレーザ光パルスとして放出させることができる。半導体レーザの場合、受動的なQスイッチングでは、多くの場合、結晶欠陥や、部分的に逆バイアスを印加した領域が可飽和吸収領域として働き、励起キャリア数が十分に大きくなった時点で、デバイス内部で増幅された自然放出光が吸収を飽和させることで急速にQ値が高くなる。この場合、数~10数ps幅の光パルスが、励起の強さに応じて数100MHz~数GHz程度の繰り返し周波数で自励発振する。能動的な方法としては、小型短共振器デバイスという半導体レーザの特質上、他のレーザと異なりQ値そのものを制御する代わりに、パルス的に、定常的なレーザ発振のしきい値条件に比較して何倍もの強励起を行う、利得スイッチングと呼ばれる手法が多用される。レーザ発振が起こる前に非常に多くの励起キャリアを蓄える動作という点ではQスイッチングと同等の動作である。この場合もやはり数~10数ps幅の光パルスがえられるが、光パルスの繰り返し周波数は、励起に用いられる電気パルスまたは光パルスの周波数によって決まる。

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