半導体用語集

イオン注入過程

英語表記:ion implantation process

~数keVの低いエネルギーでイオンを固体表面に照射すると、イオンの持つ運動エネルギーにより固体表面の原子が弾き出されるスパッタリング現象が起こる。しかし、イオン注入で用いる数10keVから数100 keV (高工ネルギー注入では数MeV)のエネルギー範囲ではスパッタリング現象よりイオンが固体内部に深く侵入する注入現象が支配的となる。
イオン注入の基礎過程は、イオン注入損傷の発生と損傷回復のためのアニーリング、注入イオンの分布である。半導体基板にイオンを注入すると、イオンは基板内の原子および電子と衝突し、ノックオン原子(または反跳原子ともいう)を発生し、注入損傷(結晶欠陥)が生成され、同時にイオンは運動エネルギーを失い、最後に静止する。イオンの注入量の増加に伴い、半導体基板内の結晶欠陥は互いに重なり合い、ついには結晶性が認められない連続的な非品質層が形成される。各種イオンを室温でSiに注入した時の、連続的な非晶質層を形成するために必要な臨界注入量を表1に示す。
注入されたイオンの分布は、イオンの注入エネルギーが大きいほど深くな り、同一エネルギーでは注入されるイオンの質量が大きいほど浅くなる。注入イオンの分布形状には、対称なガウス形分布関数を第一近似として用いることができる。


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