半導体用語集

エピタキシャル層欠陥

英語表記:epitaxial defect

 エピタキシャル層は基板上に気相より単結晶を成長させるため、微小酸素析出物、COPなどが存在せず、結晶性は良好である。反面、気相成長で単結晶を成長させるため、炉内などからのパーティクルが成長前や成長中に基板に付着するとLPD、マウンド、ヒロック、ピラミッド、積層欠陥などの表面欠陥が誘起される。
 LPD(Light Point Defect)とは、集光ランプでエピタキシャルウェハ表面を観察した時に輝点状にみえる欠陥の総称である。凸状のマウンド類、凹状のピット、積層欠陥、パーティクルなどである。
 マウンド(mound)は、パーティクルなどの異物を中心に突起状に異常成長した表面欠陥であり、反応炉内壁から剥がれたSi粒子や、気相反応で生成したSi粒子が、基板表面に付着し、これが核となり異常成長したものである。突起の周りにはネッキング状 のへこみがある。マウンドの大きさは数100μmに達するものもあり、デバイス不良原因となる他、コンタクト露光の場合、基板に接触したマスクを傷つけたり、マスクの密着性が悪くなる。これらが起こらないように、エピタキシャル後に「マウンドクラッシャ」という装置でマウンドをつぶすこともある。
 ヒロック(hillock、成長突起)は、エピタキシャル成長層に存在する突起状欠陥であり、(111)面に存在する時は三角形状になる。この欠陥は、三つの{111}面に近い結晶面に囲まれており、〈211〉方向に長い尾を引いた形状である。突起周辺の下地表面部分には〈211〉方向を向いた波紋状の凹凸 がみられる。{111}以外の面においては、成長突起の発生は極端に少なくなる。突起発生はエピタキシャル成長条件に影響され、成長温度が高く、成長速度が遅いほど、突起は少なくなり、平坦な成長面になる。
 ピラミッド(pyramid)は、エピタ キシャル成長層に存在する突起状欠陥であり、(111)成長面では3回対称型でトリピラミッド(tripyramid)突起と呼ばれ、(100)面では4回対称型となる。この欠陥は、基板や成長層の成長方位に対して特定の方位を持っている。例としてトリピラミッドは三つの個別の結晶粒からなり、それぞれの結晶粒は(111)面で囲まれており、成長層の〈211〉方向へ外に伸びている。この欠陥は、エピタキシャル層と基板との界面から発生しており、発生原因は基板表面のカーボンやシリコン酸化物、金属汚染であると確認されている。
 シャローピット(shallow pit)とは、選択エッチングした時にみられる微小ピットのことである。発生原因はエピタキシャル工程での金属汚染であり、ピットからはFe、Cr、Ni、Co、Mo、W、Auなどが検出されている。これらの金属不純物の析出によってできた小さな転位ループがピットとして観察されている。基板が無転位結晶のため、不純物や点欠陥の析出サイトになる転位が存在せず、エピタキシャルウェハ表層に発生しやすいと考えられている。発生を防止するには、エピタキシャルプロセスの清浄化(エピタキシャル前のウェハ洗浄、ハンドリング、炉内部品の清浄化)、基板のゲッタリング能力向上(back side damage、IG)が有用である。
 エピタキシャル積層欠陥は前述ウェハの表面の欠陥に付随して生じる他に、ウェハ表面の機械的ダメージなどを核にしても発生する。核を頂点として(111)ウェハでは正四面体、(100)ウェハでは四角錐の積層欠陥が発生する。
 スリップはエピタキシャル成長中の熱応力が原因で発生する転位であり、高周波加熱である縦型装置で発生しやすい。縦型装置ではウェハはサセプタ上に載置し、ウェハ裏面より加熱される。そのため、表面の温度差が生じてそりが起こる。そりが生じると面内温度分布が生じ、スリップが発生する。大口径ほど顕著であり、サセプタにザグリを設けるなどの工夫はされているが、発生は避けられないようである。
 前述の結晶欠陥とは異なるが、ファントム層と呼ばれる抵抗異常分布もエピタキシャル層欠陥の一種と考えられ る。ファントム層は、基板、またはエピタキシャル層中にエピタキシャル層中のドーパントと異なるドーパントが混入した場合に発生する。混入したドーパントとエピタキシャル層中のドーパントの拡散係数差によっては、その後熱処理によりpn接合の形成など抵抗の異常分布が生ずるが、これをファントム層と呼んでいる。

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