半導体用語集

パワーステアリング

英語表記:power steering system

 自動車を旋回、あるいは向きを変える時、ドライバの意思をハンドルにより(から)タイヤの方向として伝えるが、そのタイヤの方向を動かしているのがステアリングである。
 ステアリングに必要な力を操舵力というが、この操舵力が大きいと、ハンドルが重いと感じることになる。パワーステアリングとは、操舵力を軽減させるための倍力装置のことをいっている。自動車用のパワーステアリング装置は、操舵のための補助力を発生させる方式によって、油圧式パワーステアリングと電動式パワーステアリングに大別される。
 油圧式パワーステアリングは、油圧ポンプをエンジンの動力を利用し操舵をアシストするもので、安全ハンドルコラム、油圧タンク、油圧ホース、油圧ポンプ、コントロールユニット、ギヤなどで構成され、半導体の利用は限定されている。
 これに対して電動式パワーステアリングは、操舵をモータでアシストするもので、安全ハンドルコラム、電動式パワーステアリングコラム、非接触式トルクセンサ、マニュアルステアリングギヤ、コントロールユニットなどで構成され、各種センサ、制御回路、モータ駆動部に多数の半導体が利用されている。
 電動式は油圧式とくらべて簡素・軽量で燃費低減が図れ、将来の電気自動車の市場普及も睨んで、近年電動式への移行が加速している。また、電動式パワーステアリングは、排気量に制限がある軽自動車ですでに標準装備が進んでいる。
 図1は、電動式パワーステアリングのブロック構成例である。エンジンが始動し、システムが通電されると、まずスピードセンサから走行速度が作動範囲内であることが、コントロールユニットに伝えられる。コントロールユニットは、スピードセンサからの信号とトルクセンサからの作動信号を受け、モータとクラッチの制御を行う。
 パワーステアリング用の半導体として、具体的には全体を制御する16ビットクラスのマイクロプロセッサや、入力部で電源用IC、ピックアップセンサが、出力部にはモータ駆動のためのパワーMOSFETやそのモジュール、IPDといったパワーデバイスが使用されている。


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