半導体用語集

ホールバーニングメモリ

英語表記:hole burning memory

 不均ー広がりを有する活性媒質あるいは吸収媒質に、ある波長の光を入射すると、飽和現象のためその波長近傍で利得や吸収係数が減少してスペクトル特性にホール(窪)を生じる。これをホールバーニングと呼ぶ。この現象を利用して光のメモリ作用を出したものがホールバーニングメモリである。
 ホールバーニング現象はHe-Neなどのガスレーザで古くから観測されていたが、1974年にフリーベースフタロシアニン(H₂Pc)をn-オクタン中に分散固溶させた有機材料系で観測されたことを契機に、光メモリヘの応用で注目を浴びるようになった。このような有機系でのホールバーニングは光化学ホールバーニングと呼ばれるが、形成されるホールの波長幅が1cm⁻¹以下と非常に狭いことから、異なる波長の光を用いた波長多重光メモリを実現することが可能となる。原理的には10³倍を超える波長多重度が期待でき、光ディスクと同様の記録方式に適用した場合、ホールの有無を1, 0のビットと対応させることにより、10¹¹bit/cm²の高密度記録が実現される。光化学ホールバーニングを起こす材料としては、光互変異生によりホールバーニングを発生するポルフィリン環類、水素原子の再配位によりホールバーニングを起こすキニザリン類、光解離作用を利用するs-テトラジン、ジメチル-s-テトラジンなどが報告されている。一方、このようなホールバーニングメモリ機能は有機材料だけでなく、三次元的に電子を閉じ込めた半導体量子ドット材料においても実現されており、GaAs半導体上に形成した一辺10~20nmのInAs量子ドットを用いて3,000種類以上の波長の光で情報を書き込むことができることが報告されている。これらは量子ドット波長多重メモリと呼ばれ、10¹⁵bit/inch²クラスの高密度光メモリヘの応用が期待されている。

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