半導体用語集

マランゴニカによる乾燥方法

英語表記:Marangoni force dry

ウェハ洗浄を処理する工程はドライイン・ドライアウトで行われる。この意味は、装置間のウェハ搬送においてウェハが乾燥した状態で搬送されることをいう。ウェット洗浄においても同様で、ドライ状態で装置内に搬入され、ドライ状態で搬出される。ウェハの洗浄は薬液など液体を使用するため、最終的にウェハを乾燥させる工程が必要となる。IPA V/Dはウェハ乾燥工程で最も使用されている方法である。IPA V/Dは水分との置換効率がよく乾燥に適した物質だが、引火性があり取り扱いに細心の注意を払う必要がある。また、最近の環境問題との関連から、IPA使用量、排出量を減少させなければならないという社会的要請のため、新たな乾燥方法の開発が求められている。
マランゴニ力による乾燥方法は、直接置換式IPA乾燥ともいう。仕組みは以下のとおりである。密閉容器内にウェハを入れリンスを行う。上部純水が入っていない空間にIPA蒸気とN2 を充満させる。IPA蒸気は水に溶けるが、継続して供給すると、水面上に IPA液層ができる。水面をゆっくり下げるか、ウェハをゆっく り引き上げると、IPA液層がウェハ面に付着している水膜と置換する。ウェハにかかる表面張力は、IPA濃度に相反関係にある。水面を下げる(ウェハを引き上げる)とき,ウェハに近い部分は純水層が薄くなりIPA濃度が高くなる。逆にウェハから遠い部分は純粋層が厚くなり, IPA濃度が低くなる。そのため,ウェハから外側に向かって流れが生じ(これをマランゴニフローと呼ぶ)、ウェハ表面上の水分を非常に少ない状態にすることができる。そのウェハ上水分の厚みは数nmのため容易に乾燥する。また、上部空間には常に IPA蒸気とN2雰囲気になっており、ウェハ表面上に残っている水分は容易に乾燥する。
マランゴニ力による乾燥方法の利点・欠点は以下のとおり。
〈利点〉
(I)IPA使用量が少ない
(2)IPAを加熱する必要がないので安全。
〈欠点〉
(1)ウェハ引き上げ速度(水面引き下げ速度)が遅いため、スループット (1時間当たりの処理能力)が低い。


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