半導体用語集
レーザエッチング
英語表記:laser etching
エッチングとは固体材料を削る技術のことであり。LSIに代表される半導体デバイス作製には必要不可欠な技術である。通常レーザを用いてエッチングを行う場合、物理的な手法と化学的な手法がある。物理的な手法はレーザアブレーションと呼ばれる。アブレーションとはレーザ光の光子エネルギーによって固体内の原子や分子の結合を光解離するとともに、過剰なレーザエネルギーの吸収によって発生した熱とあいまって、分解した種を飛散させるプロセスである(長波長レーザを用い光子エネルギーが光解離を行うのに十分でない場合は、単なる加熱による蒸発が起こるが、これもアブレーションの一種として分類されている)。レーザアブレーションは真空、大気あるいは不活性ガス雰囲気中で高強度のレーザ光照射のみによって行われる簡単なプロセスである。有機系の材料の微細加工や孔開けに広く用いられているが、金属やその他の無機材料の加工にも利用されている。しかし半導体プロセスに適用した報告はきわめて少ない。
一般にレーザエッチングといった場合、後者の化学的な手法を指す。すなわち被加工対象物はエッチャントといわれる反応性のガスや溶液中に保持され、レーザ光が照射される。ガスを用いた場合のレーザエッチングの反応過程は、ガス分子がレーザ光に対して吸収を持つか否かによって異なる。吸収を持たない場合はレーザ光は基板でのみ吸収されるため、基板の光励起や発生した熱との反応でエッチングが進行する。吸収を持つ場合は、気相中や基板表面に物理吸着したガス分子が熱、振動励起、電子励起のいずれかによって解離し、まず活性な原子・分子が生成される。生成された生成種は基板を反応し、反応生成物を形成する。反応生成物は熱や光励起で説離し、エッチングが進行する。
エッチングに用いられるレーザとしては、振動励起を利用する場合TEAあるいはCWCO2、レーザ (9〜11ųm)。 熱励起の場合はNd:YAGLレーザ (1.06ųm)やその第二高調波あるいはAr+レーザ(主として可視)、電子励起の場合はエキシマレーザやNd: YAGレーザの第三あるいは第四高調波が用いられる。加工対象材料はSi, GaAs, InP、SiO₂:、 Al.Auなど半導体デバイスに用いられるほとんどの材料が試みられている。エッチャントとしてよく用いられるのは、Cl₂,、HCI、 SF₆、 NF₃」などのハロケン系のガスであるが、III-V族化合物半導体に対しては Br系のガスも試みられている。
レーザエッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)に代表されるプラズマプロセスのように高エネルギー荷電粒子を用いないため、低損傷プロセスとして期待されている。また縮小投影光学系を利用すれば、レジストレスで微細パターン加工が行えるのも大きな魅力である。しかしながら現在の超LSIプロセスにおけるエッチング技術への要望は、異方性形状の微細なパターンを高アスペクト比で作成することである。微細加工という観点からは、現状産業用として最も短波長の光を発振するエキシマレーザを用いるより手はないが、その信頼性に問題がある。
またプロセスに異方性を発現することが難しく、微細加工の加工限界もみえ始めている。
これらの問題点を解決するためには、光源の高性能化および短波長化が早急に望まれる。一方、プロセスの工夫も重要であり、その一つがデジタルエッチングである。デシタルエッチングでは、まずエッチャントガスを供給しガス分子を基板表面に物理吸着させる。気相中の余分なガス分子を排気後、レーザ光照射によって半導体の1原子層を剥離する。このプロセスを繰り返すことによってエッチングを行う。
もう一つのレーザプロセスの大きな利点は、千渉効果を利用することによって波長以下の微細加工が行えることである。レーザ光照射によって固体表面に誘起された表面プラズモンとレーザ光の干渉効果を利用することによって、半導体量子ドット構造を作成することも可能である。これらの技術は、レーザエッチングに新たな可能性を与えるものである。
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