半導体用語集
二次電子放出
英語表記:secondary-electron emission
金属表面に電子(一次電子)を照射した場合では、その電子が反射されると同時に、他の電子(二次電子)もエネルギーを受けて、金属表面から飛び出してくる。この現象を二次電子放出という。
エネルギー関係は、Wₚᵣᵢₘ = φ + 1/2 mv² > φ で与えられる。
ただし、Wₚᵣᵢₘ = (1/2)mvₚᵣᵢₘ で、vₚᵣᵢₘ は一次電子の速度である。一次電子1個に対して放出される二次電子の平均個数を二次電子の利得(secondary-electron yieldまたはratio)といい、通常δで表わし、必ずしも1より大きい値とは限らない。高エネルギーを持つ一次電子では表面層近くで二次電子が発生し、これが固体表面層に到達するまでにエネルギーを失うため、むしろ二次電子利得は減少する。最大利得を与える電圧は金属の種類によって異なるが100~1,000V程度である。
一次電子の突入する角度は、物体表面に対して直角よりも、より斜めに突入する方が、より多くの二次放出をえる。これは、二次電子の発生が表面層で生ずる割合が増えるからである。また、放出される二次電子のエネルギー分布は、一次電子(50eV以上の場合)エネルギーの20%までの範囲に全放出二次電子数の90%が含まれ、20~98%のエネルギー範囲に7%の二次電子数が含まれる。この中には非弾性的に反射された一次電子も含まれている。98~100%の間に残り3%分に相当して分布のピーク値がみられる。これは一次電子が弾性的に反射されたものである。
二次電子放出の角度分布については、物体表面に対して直角な方向からのずれの角度θに対して cos θ で分布する。一般に θ ≒ π/2 で突入する時二次電子は表面近くの原子からえられ、 θ ≠ θ では伝導電子も放出されるようになる。また、二次利得の大きさと仕事関数の大きさは必ずしも比例関係にない。しかし、仕事関数の小さいものほど二次電子利得が大きい傾向にある。
金属にくらべて半導体では、伝導電子が少ないため、発生した二次電子が固体表面に到達するまでに、他の電子との衝突によって失うエネルギーが少なく、一般に二次電子利得が大きい。絶縁体からの二次放出に関しては、本質的に金属、半導体と同じである。しかし、二次電子利得 δ < 1 の時には表面層が負に帯電し、 δ > 1 の時には正に帯電し、これらによる影響が特性上に変化をもたらす。
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