半導体用語集

同軸型直衝突低速イオン散乱分光法

英語表記:CAICISS: Co-Axial Impact Collision Ion Scattering Spectroscopy

 低速イオン散乱分光法を特化したもので、解析能力が大幅に向上している。低エネルギー(数keV以下)のイオンビームを試料に照射し.散乱イオンのエネルギーを分析することにより表面の組成や構造に関する情報をえる方法に,低速イオン散乱分光法(ISS)がある。ISSでは入射方向と散乱イオンの検出方向は異なっている。これに対して,CAICISS(カイシス)は入射イオンビームと同軸上に検出器を配置することにより,180度散乱イオン(つまり,正面衝突して元きた道を戻ってきたイオン)を検出する方法である。
 ISSは表面解析の比較的簡便な方法であるが,散乱イオンのエネルギーや強度と散乱方向は,表面原子種とその密度,イオン中性化率,幾何学的配置などが複雑にからんでいるため,精度よく分離解析することは非常に困難である。これに対して,CAICISSは観測されるイオンは試料原子と正面衝突したものであり,イオン散乱を通して各原子の中心をみることになり,明快な定量的解析が可能である。試料表面第一層の組成や元素の被覆率が直接的に測定できる他,表面第一・第二原子層の原子の正確な空間配置が解析できる。浅い埋もれた界面の原子配列の情報もえられる。また,イオンの分光検出に飛行時間計測を用いており,1回の計測はµsオーダと高速なので,構造が変化しつつある表面(成膜過程など)を時間分解して追跡することもできる。装置は,試料チャンバの一つのポートだけで取りつくようになっているので,いろいろな試料作成装置や解析装置に取りつけるのが可能である。半導体表面の第一原子層の元素固定や被覆率や原子配置の解明に威力を発する。


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