半導体用語集

実需と仮需

英語表記:real demand and temporally demand

 実需とは最終需要に見合った半導体の需要であり、仮需とは実需と半導体メーカーに発注される需要との差である。つまり、実需は電子機器、自動車、計測機器など、最終製品の需要に見合ったそれらの最終製品の生産に必要な半導体の需要である。ユーザーから半導体メーカーヘの発注量が実需と等しければ、半導体メーカーはその発注量に従って生産し供給する。ユーザーからの発注が減少すれば、半導体の生産量を落として対応する。
 しかし、仮需は発注量が実需を上回る分であり、時間が経過するに伴って何らかの形で在庫となる懸念がある。ユーザーは実際には必要がない分まで発注してしまうわけである。これはユーザーが見込み生産をし、需要が期待はずれに終わった時の在庫調整とは異なる。仮需が発生するプロセスは、以下のように考えられる。
 まず、半導体ユーザーは自社の製品の生産量を賄うだけの半導体などの部品を調達する。半導体の需給がやや引き締まってくると、半導体メーカーは得意顧客である大口ユーザーを優先するため、少量しか調達しないユーザーが半導体を調達できなくなる場合が出てくる。半導体メーカーから調達しづらくなると、足りない分をスポット市場で調達しようとする。スポット市場が逼迫し始め、市場には先高感が出てくる。いくらかの半導体ユーザーが先行きの供給不足懸念を持ち始める。供給不足が現実のものとなった場合、ある程度割り当て制で供給を受けることになるため、必要な量を少し上回る発注をするようになる。この時点での仮需はそれほど多くない。しかし、実需をやや上回った需要により供給不足感は現実のものになる。結果、大多数の半導体ユーザーは、少しでも自分の調達量を確保するために、さらに多めの発注をするようになる。仮需はさらに増加することになる。このプロセスは最終製品の在庫懸念が発生した時点で終了する。その時、半導体ユーザーは過剰の半導体在庫を持ち、半導体メーカーは多めの発注に対応するため、仕掛品や原材料などを過剰に持っているため、大幅な在庫調整局面を迎えよう。

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