半導体用語集
無線カード
英語表記:non-contact IC card
非接触でデータをやりとりする新しい媒体であり、RF-ID、データキャリアとも呼ばれる。非接触であるためその形状はカード型のみでなくコイン型、プレート型など使用する目的に応じた形状にできることに大きな特徴がある。
非接触で通信を行うための通信手段として電磁誘導、電磁結合、静電結合、光などがあるが近年の主流は電磁誘導による通信である。電磁誘導の大きなRF-IDの特徴は受信される電波からRF-ID内部動作の電源を生成すると同時にデータ(コマンド)を取り込み、動作することにある。しかしながら、この場合数十cm程度の通信距離となるものであり、数mの通信を達成する場合は電池を内蔵し対応するものとなる。広い意味では車のキーレスエントリーなども電池内蔵型RF-IDと呼ぶことができる。使用する周波数帯も通信距離(電波法の規制の違い)、伝送レートなどにより、長中波帯、短波帯、マイクロ波など多岐にわたり、変調方式もASK(振幅変調)、FSK(周波数変調)、PSK(位相変調)などがあり、目的に応じ選択される。
RF-IDの長所は、
・非接触で通信するため接触式媒体に比較し、リーダーのメンテナンスが軽減されること
・端子がないため外部環境(静電気、ほこり、水)の影響を受け難いこと
・付帯物(人)が移動しながらもデータのやり取りが可能
・アプリケーションに応じた形状での運用が可能など
がある。
応用分野として、
・交通関連のチケット、定期券への応用→定期券から出さなくてもゲート通過可能となる
・物流、流通関連への応用→仕分け、配送履歴の記憶による工程自動化
・FA→工程履歴の記憶
実際運用されている例としては交通関連として香港の交通機関のプリペイドカード、韓国ソウル市内のバスチケットカード、日本ではJR中心にトラメット(汎用電子乗車券組合)を組織し、近年導入を予定、テレホンカードもすでに無線方式で運用されている。また、物流、流通関連として回転寿司管理、駐車場管理システムなどがある。
接触式のICカードの発祥は金融の偽造、不正防止を主目的とした事業者のメリットを中心としたものであるのに対し、無線カードは利用者の利便性を追求した媒体といえる。特に形状については人が付帯するものはカードが多く、その他、物流関連のものはコイン型など小型のものが多い。コイン型、プレート型、ラベル型など、ものに付帯させて使用するものに関しては、無線TAGとも称される場合がある。
電池なしタイプのRF-IDの内部構成は、アンテナ+同調コンデンサ+LSIという非常にシンプルな構造であり、LSI内部は整流器、変調、復調を行うアナログ回路、電源がきれてもデータ保持できる不揮発性メモリ(主にEEPROM)、通信、メモリの制御を行うロジック回路からなり、多くはこれをCMOSプロセス品で対応している。処理部の機能に関しては交通チケットカードのように金銭の代替とするものには暗号化回路などを搭載する複雑な処理が必要とされ、物流用では数量確認などのため、一度に複数RF-IDのデータを読み出すことのできるマルチリード機能を搭載することが必要となる。
RF-IDは今後、その応用分野の拡大が期待される新しいメディアといえる。
関連製品
「無線カード」に関連する製品が存在しません。キーワード検索
フリーワードやカテゴリーを指定して検索できます
関連用語
関連特集
「無線カード」に関連する用語が存在しません。
「無線カード」に関連する特集が存在しません。
会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。




