半導体用語集

露光雰囲気

英語表記:exposure environment

X線リソグラフィにおいてX線マスクとウェハが露光中に置かれた雰囲気(露光環境)。露光装置(ステッパ) により大気中と減圧ヘリウムの二つの露光雰囲気に分けられる。大気中露光雰囲気を選択する場合の利点は、露光装置に使用するステージなどの機構系が大気中で駆動できるために何ら制約なくシステム構成ができることにある。これにより、安価で高性能な露光装置が期待できる。しかし大気中露光雰囲気とするには、ビームラインからX線を取り出すに際して、真空破壊事故をさけるために完全な真空隔壁を設ける必要がある。大気と超高真空の圧力差を維持するためには、X線取り出し窓を厚くし、多段にせざるを得ない。また、最終段のX線取り出し窓とX線マスクの間に、設計上1~2mm程度の空気の空間を設けることになる。これらの理由により、X線の減衰が避けられず、高スループットを目指すには不利となる。また、大気中露光の場合、X線照射により空気の成分や不純物などが励起され酸、アルカリイオンとなり、マスクのコンタミネーションやレジストの特性変化の原因になるので注意を要する。一方、減圧ヘリウムの露光雰囲気は露光装置のシステム構成が難しくなるために装置価格が高くなる反面、X線減衰は少なくなるのでスループットの点からは有利となる。また、ヘリウムの不活性ガスで置換することにより、X線照射によるイオン生成とこれらの反応物の発生は抑えられる。


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