半導体用語集
高スループット化
英語表記:high throughput
高エネルギーイオン注入は、主に従来拡散法を利用して形成されていた、比較的深い領域への不純物ドーピングに利用されるようになり、拡散法に置き換わろうとしている。高エネルギーイオン注入を利用することによって、その不純物分布の特徴および任意の深さへの不純物ドーピングが可能となり、以降の項で述べる三重ウェルやレトログレードの形成が容易に行える。拡散法は不純物依存性が大きくまた深い領域への不純物ドーピングには時間がかかること、また条件の導出にもかなりの時間を必要とする。しかしながら、高エネルギーイオン注入による不純物ドーピングは、不純物分布を理論的に予測できること、熱処理条件は拡散法にくらべ決定しやすいことなどから、プロセス設計の柔軟性に加えて、拡散法を利用したプロセスにくらべプロセスのスループットを向上させる効果が期待できる点で優れる。
イオン注入プロセスは真空装置を利用することから、イオン注入チャンバへのウェハ導入を効率的に行う工夫が必要である。低真空でのイオン注入は「ダメージ」の項で述べるように、ウェハ汚染が起こるため、真空槽への導入を効率的に行うこと、また従来のウェハー枚一枚にイオン注入する静電スキャン式でなく、メカニカルスキャンと静電スキャンを併用した注入方式などを採用する必要がある。
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