半導体用語集
高速反射電子線回折法
英語表記:Reflection High Energy Electron Diffraction: RHEED
高速電子線は固体内部での透過能が高い。したがって低速電子線回折法のように高速電子線を試料表面に垂直に入射させると,試料内部まで電子線は侵入することとなる。そこで,高速電子線回折法(RHEED)では電子線を固体表面にすれすれの入射角(数度程度)で入射させる。その結果,試料表面の数原子層の構造を反映する回折像がえられ表面構造を調べることができる。
高速電子線は低速電子線にくらべてエネルギーが大きいので表面に微小な凹凸があるとその凹凸を通過した電子線による回折像が現われる。表面凹凸が緩やかな状況あるいは原子ステップがある状況では回折像はストリーク状となる。結晶表面が原子層レベルで平滑となるか,徴小な凹凸(数10nm以下)がある場合にはシャープな回折点が現われる。
高速電子線はエネルギーが高く散乱角が小さいために電子銃や蛍光スクリーンを試料から離して位置することができる。したがって蒸着などの結晶成長プロセスから受ける影響は余りない。いい換えると,成長中の結晶性を調べるモニタとして適しており盛んに使われている。
その一例が試料の表面形態にきわめて敏感な回折強度を利用したRHEED振動である。この場合,結晶成長過程で二次元的な島成長が生じると,結晶表面の平滑度は損なわれるために回折強度は減少する。しかし,島状部分の被覆率が50%を超えると表面平滑度は改善され始めることとなり,回折強度は元に戻り始める。したがって回折強度をモニタしつつ蒸着のシャッタを開閉すれば,薄膜成長を原子層で制御することが可能となる。超格子などの結晶成長で通常的に使用され始めている。
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