半導体用語集

1,000ドルPC

英語表記:one thousand dollar PC

 PCの製品ラインアップは、従来いわゆるデスクトップ型とノートブック型の二分類しかなく、それぞれ数100ドルごとにMPUなどのスペックを変えてあった。しかし、こうした画ー的だったPC市場は、消費者のニーズが多様化し、様々なセグメントに分化しつつある。デスクトップ型PCは過去のトレンドどおり高速化を追求した高機能PC、液晶モニタを用いた省スペース型PC、1,000ドル以下の低価格PC(サブ1,000ドルPC)、ネットPCなどに分かれてきた。また、ノート型PCも機能を追求するだけでなく、より低価格なもの、B5版、A5版といったより小型のものなど、セグメントが複数になってきている。
 特に、サブ1,000ドルPCは、最大のセグメントの一つになりつつある。台数ベースでの市場シェアは小売販売の過半数を占めるまでに達していると推測される。この、いわゆる低価格PCは、1994~1995年から1,300ドル程度のものが発売されていたが、一気に普及してきたのは1997年からであり、1998年以降、加速してきている。1998年年初に米国大手PCメーカーのコンパックが発売したPresario2240は、モニタこそついていないものの、799ドルと破格の値段であった。この価格でも当時のほとんどのPCユーザーが保有しているPCのスペックを大きく上回っていたと推測される。つまり、使用しているアプリケーションソフトで十分満足しているユーザーにとって、このサブ1000ドルPCは必要な機能をすべてサポートしているわけである。ユーザーのニーズが多様化し、高機能だけを要求する時代は終わった。多くのユーザーにとっては、シーズがニーズを超えてしまったため、価格が低ければ低いほど、よくなってしまった。PCも産業用電子機器からようやく民生用電子機器(すなわち家電)に変わってきた。
 1998年後半には、コンパックがリベートを含めて699ドルのPresar­io2266を発売、その後IBMは599ドルのアプティバを発表した。PCの低価格化は留まるところを知らない。このように、大手PCメーカーが積極的に低価格化を進めている背景として、インターネットの時代に入り、PCをインターネットの単なるポータル(入口)として認識してきているためと考えられる。つまり、PCが売れるからインターネットのユーザーが増えているのではなく、インターネットにアクセスしたいと考える人が急激に増加しているから、PC需要を牽引している。ネットワークの次にはコンテンツが市場を牽引する時代になるといわれている。そのような時代には、現在の携帯電話が端末を無料で提供し、通話料で投資回収するというビジネスモデルになっているように、PCについてもインターネットヘの接続を条件に格安でPCのハードウェアが提供される可能性もあろう。

関連製品

「1,000ドルPC」に関連する製品が存在しません。

関連用語

関連特集

「1,000ドルPC」に関連する用語が存在しません。




「1,000ドルPC」に関連する特集が存在しません。




会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。