半導体用語集
しきい値電圧変化
英語表記:threshold voltage shift
酸化膜あるいは界面に電荷がトラップされてしまうと、ゲート電圧を加えた時に有効に反転層チャネルに電荷を誘起することができない (ガウスの法則に基づいて)。逆にいえば一定電荷密度を誘起させるためには余分のゲー卜電圧を加えなくてはならない。これがしきい値電圧の変化である。FETの特性としては最も明瞭に観測される変化である。トラップされたキャリアが正孔の場合には、しきい値電圧は下がる。この変化はホットキャリア信頼性の場合にも、トンネル電流注入の場合にも観測され、FETでキャリアの 捕獲現象を観測する場合にきわめて便利である。キャパシタでキャリアの捕獲を調べようとすると、比較的大きな面積が必要になる(たとえば100µm□)。これでは微細領域で起こっていることを平均化してしまう。その意味で、微細領域のトラップを調べるのには便利な方法であるが、しきい値変化だけではキャリアが界面準位に捕獲されたか、酸化膜中のトラップに捕獲されたかの区別がつかない。その観点から、チャージポンピング法(charge-pumping method)は、チャネルとキャリアをやり取りできる捕獲電荷だけを取り出せるので、微細領域の界面特性を調べるうえではこれらの両者をうまく使い分けていくことが有力な手法となっている。また、ホットキャリア劣化のように、キャリアの注入が均一に起こらないような場合には、酸化膜に一様にキャリアがトラップされたために、しきい値が変化するという単純な仮定が成立しないので解析は難しい。また、その場合には一般的には電子も正孔も同時に、しかも異なる場所にトラップされるということが生じる。このような場合、ネットの変化としてのしきい値変化は実験的に観測されるが、デバイスの中で実際に起きていることの解釈には、シミュレーションを援用した解析が必要になってくる。
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