半導体用語集
アッシング機構
英語表記:ashing mechanism
現在、主に利用されているアッシングは、酸素を分解して活性な酸素原子およびオゾンを発生させ基板上に輸送してレジストの剥離を行うものである。化学反応であるから、反応速度 (アッシング速度)は酸素原子濃度および温度に強く依存する。フォトレジストは感光性有機重合体でその主成分は炭化水素であるのだが、その材料には多種多様なものが用いられており、中には酸素と反応しやすい感光基や不飽和結合を多く持つものもあって、その種類によりアッシング速度は異なる。したがって、アッシング反応の詳細な一般的記述は大変難しい。概して、ダウンフロー方式におけるアッシング反応は有機高分子上の水素が引き抜かれることから始まると考えられている。Hの引き抜き後、高分子の主鎖の切断に至る過程は明らかではないが、段階反応としてはHの引き抜きにより形成された二重結合への酸素の反応が有力である。放電領域内(in situ plasma)で行われるアッシングでは高エネルギーのイオン、電子、光子の衝突によっても水素の引き抜きや主鎖、側鎖の切断が起こり、それを基点にした反応も進んでいる。高分子は、酸素との反応などによる主鎖の切断が進み蒸発可能な分子サイズとなった段階で順次基板表面から離脱するが、気相中でも酸素原子などと反応するため、最終的な反応生成物としては二酸化炭素、一般化炭素、水などになる。したがって、アッシング反応全体を、CnHm十(O)→ C02十CO十H20 の形に書くことができる。FやHを含む物質を酸素とともに導入して放電すると、F原子やOH ラジカルが生成され、レジストのH を引き抜いて反応を促進する働きをする。FやOHはレジストのHを引き抜くばかりではなく、前行程のエッチングやイオン注入によって硬化したレジスト層に付加反応し、アッシング速度を高める働きもする。硬化層はイオン衝撃により水素が脱離し、有機高分子が複雑にクロスリングした構造となっている。そこにFやH、OHが結合するとクロスリンクした結合が弱まり反応を促進すると考えられている。
Fを導入して水溶性の物質を表面に形成し、アッシング後に純粋リンスだけでレジスト残渣を取り除けるとする報告もある1)。酸素とともに導入するFやHを含む物質としては、H2、CFO、NF3、H20、 CHF3などが報告されている2~5)。
参考文献
1) S. Jimbo et al: Jpn. J. Appl. Phys., 32, 3045 (1993)
2)田辺正文他: Semiconductor World' p 145 (1992.3)
3) S. Fujimura et al : J. Vac. Sci. Techn01., B 12, 2409 (1994)
4) T. J. Hook et al : J. Mater. Res., 2, 117 (1987)
5) T. J. Hook et al : J. Mater, Res., 2, 132
(1987)
関連製品
「アッシング機構」に関連する製品が存在しません。キーワード検索
フリーワードやカテゴリーを指定して検索できます
関連用語
関連特集
「アッシング機構」に関連する用語が存在しません。
「アッシング機構」に関連する特集が存在しません。
会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。