半導体用語集

アンチモン化ガリウム

英語表記:Gallium antimonide

 ガリウム(Ga)とアンチモン(Sb)からなる化合物で,ガリウムアンチモンとも呼ばれている。閃亜鉛鉱型の立方晶系に属する結晶で金属光沢がある。分子量は191.47,格子定数は0.6095nmである。融点は712℃で,室温での熱膨張係数は6.9×10⁻⁶/℃ である。また,比誘電率は14.8で,電子親和力は約4.06eVである。直接遷移型の半導体で,0Kおよび室温での禁制帯幅はそれぞれ0.81eV,0.68eVである。また,常温での電子移動度は約4,000cm²/V・sで,正孔移動度は1,400cm²/V・sと大きい値を示す。Sbを含む混晶系は成分原子の大きさに差違が生じやすく,結晶成長法によっては混晶の形成が不可能な場合がある。たとえば,AlxGa₁₋xAsySb₁₋yを液相エピタキシャル成長(LPE)法*で成長する場合,実用に供されている組成はGaSbに近い組成か,GaAsに近い組成の四元混晶に限られている。デバイスへの応用としては,GaInAsSbやAlGaAsSbが分子線エピタキシャル成長(MBE)法⁑によって作製され,それぞれ2.2mm,1.5mm帯の発光・受光素子に用いられている。また,GaSb基板上に結晶成長したInAsSbは長波長の赤外線センサとして期待されている。さらに,電子デバイスでは正孔が信号を伝えるpチャネルのヘテロ接合FETとしてInGaSb/AlGaSbなどが研究されている。

⋆ 液相エピタキシャル成長(LPE)法;Liquid Phase Epitaxyは,ある温度でⅤ族元素で飽和させたⅢ族溶液を徐冷することによって,Ⅲ-Ⅴ族化合物畢導体結晶の析出を起こさせ基板上に成長するものである。比較的簡単な設備で,純度のよい,また結晶性のよい膜がえられる。
⁑ 分子線エピタキシャル成長(MBE)法;Motecular Beam Epitaxy法は,超高真空中で結晶構成元素の金属を昇温して形成した気体ソースをビーム状にして基板に照射する成長法で,低湍成長が可能で急峻な組成プロファイルがえられる。


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