半導体用語集

イオン注入誘起欠陥

英語表記:ion-induced lattice defect

イオン注人においては、固体中における原子の慟突のために、シリコンのような結晶の中で空孔と格子間原子が生み出され格子の乱れを生じる。突人したイオンが電子阻止能によるエネルギー損失によりエネルギーを消失して止まる直前に支配的となる核阻心能によるエネルギー損失、つまり核衝突によって結晶内に多くの欠陥を誘起する。ーつのイオンが打ち込まれた場合に、ノックオン(押し出し衝突)効果により、多くの原子を弾き飛ばす。数100キロのエネルギーを持つ1個の Asイオンがシリコン中に入った場合には、数万個のSi原子が結晶内で移動して、結晶の乱れを生じる。この場合にAsにくらべて軽原子であるBの場合には、飛ばされるSiの数は、2桁以上のオーダで少なくなる。Asの場合、イオン注入ドーズ量が1×1014cm-2を超えると結晶が完全に壊れて非晶質層が形成される。この非晶質となった部分は、熱処理時に基板側の結晶から結晶成長して、ほば完全結晶になる。またその時に注入された原子は格子点の置換位置に容易に入り、電気的に活性となる。ただしその奧(深い部分)には、異常な結晶欠陥領域が残留する。この部分をend of rangeと呼ぶ。この部分は、熱処理後も完全な結晶への回復は困難であり、素子構造からくる異常ストレスの影響などにからんでディスロケーションの形成や、スリップの発生を引き起こす源となる。また、高濃度注入時の非晶質形成による結晶成長のマスク端部での結晶の成長が複数方向から成長を起こすため、結晶成長が不連続な部分が形成される。ここでは、ボイド状の欠陥を形成し、欠陥成長の核として働く。


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