半導体用語集
ウェハプローバ
英語表記:wafer prober
ウェハプローバとは,半導体製造工程において,パターン形成の終了したウェハのチップの良品・不良品の選別を,ウェハ上のチップに設けられたPAD(電極部)とテスタを物理的・電気的に接続することで実行する装置である。
その主な構成は,チャックトップと呼ばれるウェハを載せる台を支えるステージ部,ウェハをカセットから出し入れ,チャックトップに移動させるローダ部,CPUでプローバの動きを制御するコントローラ部がある。さらに,ウェハの位置を光学的に調整し,正しいPAD位置にプローブを合わせるアライメント機能を有する部分もフルオートプローバのエリアでは,重要な構成要素となる。
ウェハプローバには,その種類として,ローダ機能,アライメント機能を持たないマニュアルプローバ,アライント機能はあるがローダ機能のないセミオートプローバ,どちらの機能も有するフルオートプローバがある。現在,半導体製造工場で使用されているプローバのほとんどは,フルオートプローバであり,マニュアルおよびセミオートプローバは,特殊用途として,研究所や開発部門で使用されることが多い。
ここでは,市場の大半を占めるフルオートプローバについて説明する。近年,プローバ装置においても,自動化,省力化が,もともと半導体製造装置分野に求められる無人化とともに,必然的なものとなっている。
通常,不良チップは,インカにより,インクマークがつけられるが,プローバを複数台システムで構成し,1台のプローバをインクマーキング専用にするシステム構築もある。この場合,ウェハの不良チップ情報は,FDに取り込む場合と,電気的に測定プローバとインクマーキングプローバ間の情報通信を行う場合がある。このシステムをグループマーキングシステムという。さらに,マーキングプローバの有無に関係なく,複数プローバを統括的に管理,運用していくグループコントロールシステムが,半導体量産工場のテストフロアで構築されているケースもある。その目的として,プローバ稼動状態の把握・効率の良い運用があげられる。
一方,プローバ単体の機能に目を向けると,オペレータの作業をできるだけ軽減するよう,自動化機能が一層押し進められている。代表的な機能として,オートセットアップ機能がある。これは,いったん,PAD位置とプローブカードのプローブの位置を合わせておけば,品種が変わらない限り,プローバが自動でアライメントを実施する機能である。通常カメラを用い,PAD位置の認識および針先の認識を行う。
以前のフルオートプローバは,顕微鏡が必須であったが,現在は,ほとんどすべてカメラで捉えた画像を液晶タッチパネル上で映し出し,操作するのが一般的である。また,他にオプションとして,インスペクション機能がある。この機能は,針跡検索機能,インクマーク跡検索機能,インクマークカウント機能を包含する。
プローバ自体での代表的なオプションとしては,測定温度に関し,常温以外に,ホットチャックという名称で,高温(150℃まで)対応もよく使用されている。さらに,低温測定のニーズとして,ウェハプローバでも,高温領域および-55℃までの低温領域対応を可能にする機種もある。
対象とするウェハサイズは,現在は 8インチウェハ対応(通常の場合,5インチや6インチウェハもカバーしている)であるが,大口径化に即して,12インチウェハヘの対応も計画されている。他の前工程の半導体製造装置にくらべ,微細化(パターンルールの縮小化)とともに陳腐化しない分,プローバは,長期レンジで使用されることが多い。なお,プローバは,あくまでICテスタとプローブカード(一部,プローブカードを使わず,プローブ一本一本を独立して駆動させるタイプ(プローブヘッド方式)もある)とのセットで,ウェハ検査を実施するものであり,相互の結びつきはきわめて重要である。
プローバのオプションで,HFキット(もともとHFはHigh Frequencyの意味)と呼ばれるICテスタとの接続部がある。これは主に,テスタ側へッド部を支え,また回転させるメカ的部分を総称することが多い。近年,ICテスタの多ピン化,高速化に伴い,テスタ側ヘッド部が大型化し,プローバ側のHFキットの構造負担も大きくなる傾向がある。
また,リニアテスタ用として,プローブカード基板周りに電子部品の搭載できるエリアを広くとり,電気特性の向上を図る目的で,リニアヘッドプレート方式というものもある。基板上の部品搭載エリア確保の他に,GND強化も考慮されている。
通常,プローバとテスタとのやりとりは,TTLレベルの標準テスタインタフェースか,GPIBインタフェースを使う。さらに,ウェハの何番目のチップを測定しているかを,プローバ側から,テスタ側へ伝えるために,XYコーディネータというインタフェースもある。
また,直接,PADにコンタクトする部分で重要な役割を占めるのがプローブカードである(「プローブカード」の項参照)。多マルチ化については,プローブカードが製作可能かどうかに大きく左右されるが,現在,メモリの分野では,同時測定チップ数として,32マルチが主流を占めつつある。今後,トータルコストメリットをにらみながら,64マルチヘの取り組みが加速されてこよう。各ICメーカーは,同時測定チップ数を増やすことでスループットを上げ,トータルでのテストコストのダウンを狙う動きもある。この場合,ピン数が多ピンになり,プローバ側で,チャックトップの剛性が要求される。つまり,多ピンによる耐荷重および偏荷重への対応が要求される。また,LSIのPADサイズの縮小化,狭ピッチ化に伴い,精度の面でもプローバ,プローブカードともに高精度化の要求が続く。
また,ロジックの分野では,狭ピッチ傾向とは別にはんだバンプ測定の要求も今後増加することが予想され,プローブカードを含めた対応が求められる。また,ウェハ状態での高速試験(wafer at speed test)のニーズも,今後予想され,プローブカードを含めたプローバに対する期待と要求は,ますます高まりをみせてくるであろう。
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