半導体用語集

エミッタフォロワ

英語表記:emitter follower

 エミッタフォロワは図1に示すような、入力がベース端子、出力がエミッタ端子であるコレクタ接地回路の別名である。エミッタフォロワの名称は、ハイインピーダンス負荷が出力端子に接続された時に、出力電圧が入力電圧にほぼ利得1で追従することに由来する。また、エミッタフォロワの出力インピーダンスは、入力信号源のインピーダンスとトランジスタの入力抵抗の和の1/(1+β) (βはエミッタ接地電流増幅率。典型的な値で100程度。)になることから、エミッタフォロワは次段回路に対するインピーダンス変換回路としても広く使われている。
 これらの特性を図2の小信号等価回路を用いて導く。ここで使用されているトランジスタモデルは、ハイブリッドπモデルである。ただし簡単のため、入力抵抗Rπと電流制御電流源βIᵢのみ考慮に入れた。また、Vsは入力信号源電圧、Rsは入力信号源インピーダンス、Rʟは負荷である。まず、出力電圧が入力電圧にほぼ利得1で追従することを示す。出力端においてキルヒホッフの電流則を適用すると式(1)であり、式(1)から入力信号源電圧Vsと出力電圧V₀の比、式(2)をえる。式(2)からがRʟ大きいほど利得が1に近づいていくことがわかる。次に、出力インピーダンスを求める。ただし、出力インピーダンスの算出ではVs=0とすることに注意が必要である。図中のIxは、式(3)と表される。ここで、入力電流Iiは式(4)であり、これを式(3)に代入、さらにV₀とIxの比、すなわち出力インピーダンスを求めると、式(5)となる。式(5)は、出力インピーダンスが入力信号源のインピーダンスRsと、トランジスタの入力抵抗Rπの和の1/(1+β)であることを示している。
 また、出力電流I₀=(1+β)Iiが変動した時、入力電流の変動はその1/(1+β)であるので、バッファ回路としての特性も優れている。さらに、エミッタ出力側にダイオードのアノードを接続し、出力信号をダイオードのカソードから取り出すことで、出力信号のDCレベルを入力信号のDCレベルより(エミッタ・コレクタ間の電圧)+(ダイオードのアノード・カソード間の電圧)だけシフトさせることができることから、DC成分のレベルシフト回路としても使われる。
 エミッタフォロワの周波数特性は、電圧利得に関しては、DCからトランジスタの電流遮断周波数のオーダまでの広帯域にわたってほぼ1を保つ。入力インピーダンスは容量的に変化、すなわち高周波領域で減少する。出力インピーダンスは、コレクタ電流の量および入力信号源インピーダンスの値などにより容量的・誘導的・純抵抗的のいずれの変化をも取りうる。

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