半導体用語集
カスコード型差動増幅器
英語表記:Cascoded differential amplifier
単純なアクテイプ負荷の差動増幅器は電流密度を少なくしてトランジスタが弱反転領域で動作させた時,1段当たりの利得が約60dBの最大値となる。しかし,これでは広い周波数幅の増幅は困難であるし,面積も大きくなるので,通常は強反転のバイアス条件 で動作させる。この時には40dB以下の利得になる。これは,入力トランジスタの相互コンダクタンスと,入力 トランジスタと負荷トランジスタのドレインコンクタンスの和との比で利得が決まるためである。入力トランジスタにカスコード接続を導入すると,ゲート接地されたトランジスタにより,入力トランジスタのドレインコンダクタンスをみかけ上非常に小さくすることができる。電流の少ない条件では,負荷トランジスタのチャネル長を長くするか,もしくは図1(a)のように負荷もカスコード接続することによって1段でも利得を80dB程度まで増大させることができる。これが,カスコード接続の差動増幅回路である。 図1(a)の回路はカスコード接続されたトランジスタが飽和領域で動作させる必要があるため,入力同相範囲を広くとるためには電源電圧をかなり高くしなければならない。そこで,図1(b)のように,MPl,MP2の定電流源からの電流を半分は差動回路に流し,もう半分をカスコード負荷に流すように構成すれば,図1(a)と同様な効果が低電圧でえられる。この回路はフォールデッドカスコ-ド回路と呼ばれる。この回路は,同相入力範囲も広く,負荷が容量だけである時には,特によく用いられる。
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