半導体用語集

キルビー特許

英語表記:Kilby patent

 集積回路、ICのアイデアという意味では、1958年のTIのキルビーの着想、および開発が、ノイスらの開発と同時期にあった。これに先だち、1952年に英国のデュマーは、電子部品の信頼性向上の見地から、機能は増えるが部品点数や接続点数が少ない機能デバイス、すなわち集積回路の概念を発表、すでに、このアイデアに基づき、RCAやIBMでは、ハイブリッドICなどの種々の機能性電子部品が開発されていた。こうした流れを受けて、キルビーは、半導体基板の上に、抵抗などの受動素子と、トランジスタなどの能動素子を、モノリシックに作り込む集積回路の開発を行い特許化していた。集積回路の着想と発明という意味では、キルビーの貢献は大きいが、ノイスらの具体的な発明がなければ、モノリシックICの誕生も、集積度を上げていきながら高機能化、高信頼化、低消費電力化、大量生産による低価格化を実現して、発展していく半導体産業の今日はなかったといえよう。しかし、日本において、このキルビーの名が有名になるのは、その特許を巡る係争であった。このIC化のアイデアは、キルビー特許(キルビー275特許)となったが、先発明主義である米国では、すでに、有効期間が切れていたが、先願主義である日本においては、1960年以降、分割出願されたため、また、その影響の大きさから、広範な修正がなされた後、1989年に付与されたため、30年近くも前の技術であるにも関わらず、数々の特許係争を生み、TIの特許戦略の象徴として、知的所有権の有り方の論議を呼んだ。なお、キルビー特許という場合は、ICの表面積をキーボードより小さくする、というキルビー249特許もあり、こちらは、日本で1960年の出願、1965年に公告となっている。

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